説明会に登壇した東芝の吉川氏
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サンプル出荷を始めた128Gビット品
サンプル出荷を始めた128Gビット品
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 東芝が、いよいよ3次元NANDフラッシュメモリー「BiCS(Bit-Cost Scalable)」の製品化に乗り出した。エンタープライズSSDなどのハイエンド用途向けに、2015年3月26日にサンプル出荷を開始(リリース)。同年夏~年末に少量量産を始め、2016年上期から本格的に量産する。同日、報道機関向けの説明会を東京都内で開催した。

 サンプル出荷を始めたのは、メモリーセルを48段積層した128Gビット品。2ビット/セル(MLC:multi-level cell)の多値化技術を導入した。128Gビットというメモリー容量は、現行の平面構造のNANDフラッシュメモリーの最大容量に相当。チップ面積は同じメモリー容量の平面NANDに比べて小さくできる。

 性能も高い。シーケンシャル書き込み速度は80Mバイト/秒で、同読み出し速度は533Mバイト/秒。書き込み速度は、平面NAND(40M~50Mバイト/秒)の2倍に迫る。書き換え回数は「製品仕様にもよるが、実力値はエンタープライズ用途の(平面NANDの)10Kサイクル(1万回)を超える」(東芝 セミコンダクター&ストレージ社 メモリ技師長の吉川進氏)。縦方向にビット密度を稼ぐ分、水平方向の設計ルールを平面NANDに比べて緩められることなどから、こうした特性が得られるという。