講演の様子
講演の様子
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 日本医療機器産業連合会(医機連)会長で、テルモ 代表取締役会長の中尾浩治氏は、2015年3月12日に東京都内で開催されたシンポジウム「自分で守る健康社会」(主催:東京大学 COI拠点)のパネルディスカッションに登壇。「健康長寿社会について」と題して講演した。

 同氏が強調したのは、健康寿命延伸の重要性である。日本は約83歳と世界一の平均寿命を誇るが、健康寿命は約72歳。両者には約10年の開きがある。医療費が年率2~3%のペースで増加しているのに対し、「寿命の伸び率は(年率)1%以下。医療費の投下に寿命が相関することを期待するのは難しい」。これは日米欧に共通し、米国では近く医療費が軍事費をしのぐとも言われる。

 こうした状況から、今後目指すべきは「PPK(ピンピンコロリ)またはliving wellと呼ばれるような、健康長寿を増やすことだ」。健康長寿社会の実現度を測る指標として「ナショナル・ヘルスケア・インデックス(national healthcare index)」を提案。(健康寿命)×(平均寿命)を(国民1人当たりの医療費)で割った値で定義できるとの私案を示した。

 講演後のパネルディスカッションでは、健康長寿社会の実現に向けて「総合ヘルスコンサルタント」の登場を望んでいると話した。顧客(消費者)一人ひとりに対して、最適な健康管理のあり方をコンサルティングするようなサービスだ。