富士経済(本社東京)は、次世代型の製造現場に対応したFA機器・システム市場に関する調査結果を実施し、結果を「Industrie4.0関連市場の実態と将来展望 2015」としてまとめた(ニュースリリース)。調査によると、世界での同市場の規模は2014年で2兆5494億円(表1)。今後もICTを活用した生産性向上が進み、2020年には4兆9433億円に拡大すると予測する。

表1:次世代型FA機器・システムの市場規模
表1:次世代型FA機器・システムの市場規模

 同社によると、ICTの進化により、それを活用した次世代型製造現場の構築が現実味を帯びてきたという。生産設備では従来、産業用のロボットとコントローラーによる自動化で生産性の向上を目指してきたが、今後は設備にセンサーを取り付け、製造現場から離れた経営部門でも生産情報をリアルタイムに把握するなど、製造現場の効率化が期待される。これにより、最適な時期に必要な量の製品を生産することが可能となるため、在庫の削減や生産拠点の調整による最適なバリューチェーンの構築、生産計画の見込み違いによる損失の減少などを図れる。今回の調査では、このように高効率で柔軟な生産を可能とする仕組みを「ICTを活用した次世代型製造現場(=スマート工場)」と位置づける。

 この調査では、スマート工場の実現に貢献するFA機器・システムの市場を分析した。具体的には、情報系のPCと制御系のPLC(Programmable Logic Controller)などを融合させたPCベースコントローラーや、双腕ロボットなど次世代型のFA機器、製造現場の情報化に不可欠なM2M(Machine to Machine)・IoT技術、ICT化により必須となるセキュリティシステム、作業員とロボットの協業に必要なセーフティーシステムなど30品目を調査。大きく[1]生産システム、[2]コントローラー、[3]製造装置・センサーの3分野に分けて今後を予測するとともに、スマート工場の方向性や課題を明らかにした。