図1 アイシン精機と千葉工業大学が発表した「ILY-A(アイリーエー)」
図1 アイシン精機と千葉工業大学が発表した「ILY-A(アイリーエー)」
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図2 ILY-Aの4つの形態。左上から時計回りに「ビークルモード」「キックボードモード」「カートモード」「キャリーモード」。
図2 ILY-Aの4つの形態。左上から時計回りに「ビークルモード」「キックボードモード」「カートモード」「キャリーモード」。
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図3 ハンドル付け根のヒンジ部分に搭載した赤外線センサー。
図3 ハンドル付け根のヒンジ部分に搭載した赤外線センサー。
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 アイシン精機と千葉工業大学は2015年3月17日、三輪の1人乗り電動小型モビリティー「ILY-A(アイリーエー)」を発表した(図1、アイシン精機のニュースリリース)。自転車のような外見をした同製品は、シニアカーのように電動で移動したり、手押し車のように手で押して荷物を運んだりといった具合に、ユーザーの世代や用途に合わせて4つの形態に変形できる(図2)。さまざまな生活シーンに合った新しいパーソナルモビリティーの提案として、アイシン精機と千葉工業大学は5年以内に製品化を目指すという。

 同製品のユニークな点は、利用シーンに合わせて4つの形態に変形できることだ。それぞれ(1)モーターで移動する「ビークルモード」や、(2)足でこぐこともできる「キックボードモード」、(3)手押し車のように荷物を載せて運べる「カートモード」、(4)折りたたんで容易に持ち運べる「キャリーモード」がある。千葉工業大学が安全機能などの知能化技術やロボット技術、試作機の製作を、アイシン精機がデザインと量産化技術を担当する。開発に当たった千葉工業大学常任理事で未来ロボット技術研究センター所長の古田貴之氏は「高齢者や障害者の行動支援だけではなく、若者にも利用してもらいたい」と、これまでのシニアカーとは違うジャンルの製品であることを強調した。

 千葉工業大学は今回、赤外線センサーを利用した安全機能を搭載した(図3)。ビークルモードで走行しているときに障害物が飛び出してきたときには、製品が自動で急停止して衝突を回避する。さらに人ごみの中や障害物が多い場所では、周囲の状況に合わせて自動で最高速度を下げる自動減速機能もついている。赤外線センサーは5m~7m、最大270°の範囲で障害物を認識できる。一方で、付き添いの人などが横に並んで歩行しているときは、それを障害物とは認識せず自然に走行できる。