無線で電力を伝送するワイヤレス給電技術。既にスマートフォンなどの携帯機器では製品化済みだが、自動車でもいよいよ実用化のフェーズに突入する(関連するセミナー)。国際標準規格化の議論が大詰めを迎えており、2015年5~6月にも方向性が固まるためだ。
これにより、自動車が止まった状態でのワイヤレス給電技術を用いた充電(定点充電)機能を市販車に搭載する環境が整う。本稿では、自動車向けのワイヤレス給電技術を巡るここ数年の動きを振り返ることにする。
自動車メーカーの動向を中心にまとめた前編は、こちら。
ワイヤレス給電システムの開発に注力するのは、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車を開発する自動車メーカーだけではない(図1、関連記事1、関連記事2)。自動車業界に身を置く多くの企業だけでなく、エレクトロニクス企業も巻き込んだ開発競争に発展しているのだ。
エレクトロニクス系の企業の中で、特にワイヤレス給電システムの研究開発に力を注いでいるのが米Qualcomm Technologies社だ。同社は2011年11月に、電磁誘導方式のワイヤレス給電技術に関する特許を多数保有するニュージーランドUniversity of Aucklandから、同技術の関連資産を買収することを発表した。