電力4社の公表した出力抑制率の見通し。九州電力だけは日単位の出力抑制なので、数値が大きくなる。「出力抑制率」とは、発電可能電力量(抑制前)に対する出力抑制量の比率。沖縄電力の抑制率は、2013年度・追加量5万kWで22.6%、2012年度・同・25.9%、2011年度・同・24.1%など(出所:経済産業省・系統ワーキングループの資料をもとに日経BP作成)
電力4社の公表した出力抑制率の見通し。九州電力だけは日単位の出力抑制なので、数値が大きくなる。「出力抑制率」とは、発電可能電力量(抑制前)に対する出力抑制量の比率。沖縄電力の抑制率は、2013年度・追加量5万kWで22.6%、2012年度・同・25.9%、2011年度・同・24.1%など(出所:経済産業省・系統ワーキングループの資料をもとに日経BP作成)
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 経済産業省は3月4日、新エネルギー小委員会・系統ワーキンググループ(WG)を開催し、九州電力、北海道電力、東北電力、四国電力、沖縄電力の出力抑制の見通しを公表した。九州電力の場合、震災前30年間の原子力発電の平均利用率を前提としても、実績ベースでは100万kW追加時で、出力抑制率(出力制御率)は6~16%となった。

 これら5電力管内では、再生可能エネルギーの接続申し込みが、接続可能量を超える見込みとなり、指定電気事業者制度が適用された。同制度の下では、接続可能量を超えて接続した太陽光発電事業に対しては、無制限・無補償の出力抑制が課される。抑制量の算定値は、「無制限・無補償では、太陽光発電の事業性が判断できない」との批判に応えたもの。

 今回の見通しは、接続可能量を超えて太陽光発電を接続した場合、その追加量に応じて、無制限・無補償の抑制を適用された発電事業者が、どの程度、抑制されるかを2通りの手法で算定した。1つは、2011~13年度における太陽光・風力発電の時間帯別の発電実績を使った。もう1つは、太陽光と風力の合成出力を月別・時間帯別に最大2シグマ(最大値から2番目の値:以下「合成2シグマ」)相当の出力(雨天・曇天時は除く)で算定した。後者は接続可能量を算定した手法だ。

 また、九州電力は日単位での出力抑制で算定、北海道電力、東北電力、四国電力は時間単位の抑制で試算した。また、沖縄電力は事前に抑制日を決めておく、固定スケジュール(固定カレンダー)方式を採用した。

 いずれの算定手法でも、ベースロード電源として原発・地熱・水力の出力は東日本震災前の30年間の平均利用率を使った。地域間連系線については、現行ルールを前提にしているため、変動する再エネ電源の余剰対策としては本格的に活用していない。