経済産業省は3月4日、新エネルギー小委員会・系統ワーキンググループ(WG)を開催し、九州電力、北海道電力、東北電力、四国電力、沖縄電力の出力抑制の見通しを公表した。九州電力の場合、震災前30年間の原子力発電の平均利用率を前提としても、実績ベースでは100万kW追加時で、出力抑制率(出力制御率)は6~16%となった。
これら5電力管内では、再生可能エネルギーの接続申し込みが、接続可能量を超える見込みとなり、指定電気事業者制度が適用された。同制度の下では、接続可能量を超えて接続した太陽光発電事業に対しては、無制限・無補償の出力抑制が課される。抑制量の算定値は、「無制限・無補償では、太陽光発電の事業性が判断できない」との批判に応えたもの。
今回の見通しは、接続可能量を超えて太陽光発電を接続した場合、その追加量に応じて、無制限・無補償の抑制を適用された発電事業者が、どの程度、抑制されるかを2通りの手法で算定した。1つは、2011~13年度における太陽光・風力発電の時間帯別の発電実績を使った。もう1つは、太陽光と風力の合成出力を月別・時間帯別に最大2シグマ(最大値から2番目の値:以下「合成2シグマ」)相当の出力(雨天・曇天時は除く)で算定した。後者は接続可能量を算定した手法だ。
また、九州電力は日単位での出力抑制で算定、北海道電力、東北電力、四国電力は時間単位の抑制で試算した。また、沖縄電力は事前に抑制日を決めておく、固定スケジュール(固定カレンダー)方式を採用した。
いずれの算定手法でも、ベースロード電源として原発・地熱・水力の出力は東日本震災前の30年間の平均利用率を使った。地域間連系線については、現行ルールを前提にしているため、変動する再エネ電源の余剰対策としては本格的に活用していない。