蓄電池を設置する太陽光発電所「Willersey Solar Farm」(出所:ベレクトリックの英国法人)
蓄電池を設置する太陽光発電所「Willersey Solar Farm」(出所:ベレクトリックの英国法人)
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 ドイツの太陽光発電関連事業者のベレクトリックの英国法人は2月12日、太陽光発電と蓄電池の最適制御で電力網を安定化する技術を、英国の電力網で実証すると発表した。プロジェクト名は、「Enhanced Frequency Control Capability(EFCC)project」。

 英国の電力事業者であるNational Grid社が主導し、太陽光発電をはじめとする再生可能エネルギーの運用の工夫によって、電力網の電圧と周波数を安定化することで、電力網に必要な運転予備力(spinning reserve)を削減する。

 プロジェクトは、英国の電力ガス市場規制庁(Ofgem)の承認を受けた上で、ベレクトリックのエネルギー貯蔵システムと管理技術を使い、先端的な電力網の監視・制御技術の可能性と課題を検証する。

 英国は、メガソーラー(大規模太陽光発電所)や風力発電所の導入を拡大することで、既存の化石燃料による発電所の出力を最小化することを目指している。

 その際の課題となっているのが、太陽光発電などの出力変動を考慮しながら需給バランスの維持、出力変動に伴う電力網の電圧の過剰な上昇の抑制などである。これらは電力網の停電を招く可能性がある。

 これらの課題の解決策は提案されているものの、電力網に高価なシステムを追加する必要があるため、現実的ではなかった。

 今回のEFCCプロジェクトでは、電力網の要所に、蓄電池をベースとするバックアップシステムを置き、電力網の状況に迅速に対応できるスイッチを活用して制御する。こうしたシステムは、例えば、人口の多い地域の郊外などに設置する。

 電圧の上昇などに迅速に対応することで、電力網の安定化に必要なバックアップシステムの容量を最小化でき、コストを削減できるとしている。