左から戸田工業社長の寳來茂(たからぎ・しげる)氏、BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社の最高経営責任者、阿武保郎(あんの・やすお)氏、BASFジャパン社長のJoerg-Christian Steck氏
左から戸田工業社長の寳來茂(たからぎ・しげる)氏、BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社の最高経営責任者、阿武保郎(あんの・やすお)氏、BASFジャパン社長のJoerg-Christian Steck氏
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 電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)向けなどで注目されるリチウムイオン電池に使われる正極材。この分野に注力するドイツ企業と日本企業の新たな連合がスタートを切った。

 2015年2月24日、ドイツBASF社と戸田工業は、日本を拠点にリチウムイオン電池用正極材を展開する合弁会社「BASF戸田バッテリーマテリアルズ合同会社」(以下、BASF戸田)を設立したと発表した(写真)。

 「世界のリチウムイオン電池の市場は、2017年から2018年頃に飛躍的に伸びることが予想される。世界の化学メーカーのリーディングカンパニーであるBASFと、EV用電池向けニッケル系正極材を世界に先駆けて商品化した戸田工業の強みを生かして、成長を目指す」。BASF戸田の最高経営責任者(CEO)である阿武保郎(あんの・やすお)氏は記者会見でこう意気込みを語った。

   BASF社は自動車産業向けの豊富な製品の品揃えを持ち、広範囲の電池材料技術も持つ。さらに将来的な市場拡大に対応する投資力もある。戸田工業には、豊富な微粒子合成技術を用いた正極材の技術があり、10年以上のリチウムイオン電池用正極材の事業実績を持つ。市場での発火、発煙、発煙などの無事故実績もあるという。

 BASF戸田には、BASFジャパンが66%を、戸田工業が34%を出資。日本でのNCA(ニッケル系正極材)、LMO(マンガン系正極材)、NCM(三元系正極材)などの正極材料の研究開発、製造、マーケティング、販売を手がける。BASF社はNCMが得意で、戸田工業はNCA、LMO、NCMの全てをまんべんなく手がけてきた。