図1 事業説明後の質疑応答での方志教和専務と森正治事業部長
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 シャープは2015年2月13日、大阪市の本社で液晶事業説明会を開催した。説明役は、同社 代表取締役 専務執行役員 デバイスビジネスグループ担当の方志教和氏と同社 第一事業本部 第4事業部 事業部長(車載担当)の森正治氏(図1)。液晶事業の第3四半期決算の内容報告と営業利益の変動要因および業績悪化の要因を説明した後、直近(2015年度以降)の対応、および中期の対応(2017年度以降)として「液晶事業のポートフォリオ変革」の方向性を打ち出した。

 「ポートフォリオ変革」の内容の中心はコンシューマー向けの「BtoBtoC事業」から「BtoBtoB事業」へのシフトであり、そのコアとなるのが車載ディスプレー事業である。説明会会場では、様々な車載向けディスプレーを展示した。

業績悪化の背景は「中国スマホ市場のサプライチェーンの突発事故」

 方志教和専務は冒頭で、2014年度通期の営業利益が400億円に下方修正された背景を説明した。業界で言われている中国スマートフォン(スマホ)市場での価格下落の影響はあるものの、為替変動の影響でほぼ相殺しており、さらにコストダウン効果は価格下落を十分補っていたという。その中で、モデルミックスの悪化による売り上げ金額の低迷が大きく足を引っ張る形になったと主張した。WQHD(2560×1440画素)などの高精細品の浸透スピードが予想よりも遅いことも、下方修正の要因の1つに挙げた。

 さらに、質疑応答の場では、「サプライチェーンの突発的な事故が下方修正の大きな要因である」との説明があり、これまで業界内でささやかれていたパネルメーカー同士の低価格競争での足の引っ張り合い説を否定した。同社の説明によると、台湾のタッチパネルメーカーが2014年10月に会社更生法を申請し、同年12月に工場を閉鎖したため、組み立てを頼っていたシャープは大きな影響を受けたという。方志専務は、「今回の影響は、シャープの今期の赤字額に匹敵する」と説明した。