日立ハイテクノロジーズ新事業創生本部本部長付の須崎喜久雄氏(左)と「幸福度」の測定技術を開発した日立製作所中央研究所主管研究員の矢野和男氏(右)
日立ハイテクノロジーズ新事業創生本部本部長付の須崎喜久雄氏(左)と「幸福度」の測定技術を開発した日立製作所中央研究所主管研究員の矢野和男氏(右)
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幸福度を示す身体運動のパターンを測定するウエアラブルセンサー
幸福度を示す身体運動のパターンを測定するウエアラブルセンサー
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 日立ハイテクノロジーズは2015年2月9日、人間の行動データと経営情報を統合解析して、業績向上プランの策定などを支援する「ヒューマンビッグデータ/クラウドサービス」の解析対象に、集団の「幸福感(ハピネス)」を意味する「組織活性度」を追加すると発表した。

 組織活性度は、専用のウエアラブルセンサーが測定する身体運動データに基づいて算出する。ウエアラブルセンサーは加速度センサーを搭載しており、「高ハピネス型は身体運動の持続時間に自然な“ゆらぎ”がある」「低ハピネス型は身体運動の持続時間に不自然な“ゆらぎ”を伴う」といった特徴的なパターンにもとづいて「個人の活性度」を定量化。その結果を組織単位で集計・平均して、組織活性度を求める。

 身体運動の測定結果から幸福度を算出する技術は、日立製作所が開発した。実際に7社、10組織、468人、5000人日、50億点の身体運動をウエアラブルセンサーで測定して集団の幸福度を算出。その結果を、抑うつ傾向の自己評価尺度(CES-D)アンケートの結果と比較したところ、両者の間には強い相関関係(相関関数0.92)が見られたという。

 ウエアラブルセンサーの寸法は80×58×8.8mm、重量は約38グラムで、名札のように胸元に付けて使用する。液晶画面に行動継続時間、個人単位の活性度トレンドなどを表示する。

 日立ハイテクノロジーズのヒューマンビッグデータ/クラウドサービスではもともと人間の行動データを取得するためにウエアラブルセンサーを利用しており、対面相手が装着したセンサーやオフィスに設置した赤外線ビーコンと連携することで、「誰と誰が、いつ、何分間、対面したか」「どこの場所に何分間いたか」などの行動データを取得していた。今回これに、身体運動にもとづく組織活性度が追加されることになった。

 組織活性度を追加したヒューマンビッグデータ/クラウドサービスは、2015年2月10日に受注を開始する。価格はクラウドサービスでのデータ解析などを含めて、個別見積もりとなる。評価用に少数のウエアラブルセンサーを貸し出すメニューもあり、価格はセンサー1台あたり年間10万円(税別)となる。