図1●バルクトランジスタ(左)とFDSOIトランジスタ(右) STMicroのスライド。
図1●バルクトランジスタ(左)とFDSOIトランジスタ(右)
STMicroのスライド。
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図2●バルクよりも高速、低消費電力 STMicroのスライド。
図2●バルクよりも高速、低消費電力
STMicroのスライド。
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図3●STマイクロエレクトロニクスのKirk Ouellette氏(右端) 日経テクノロジーオンラインが撮影。スクリーンはSTMicroのスライド。
図3●STマイクロエレクトロニクスのKirk Ouellette氏(右端)
日経テクノロジーオンラインが撮影。スクリーンはSTMicroのスライド。
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 SOI(silicon on insulator)基板で作る半導体をテーマにした「FD-SOI and RF-SOI Forum」が、2015年1月23日に東京で開かれた(主催はSOI Industry Consortium)。これまで限られたケースでしか使われていなかったSOIだが、一般的なSoCの次期半導体プロセスとして浮上する可能性が高くなった。

 SOI基板はSiO2の絶縁層の上にSi層を形成した基板であり、その基板を使うプロセスをSOIプロセス、そのプロセスで作ったトランジスタをSOIトランジスタと呼ぶ(図1)。一方、SiO2の絶縁層がない一般的なSi基板(バルク基板)を使うプロセスをバルクプロセス、同プロセスで作ったトランジスタをバルクトランジスタと呼ぶ。

 SOIトランジスタはバルクトランジスタに比べて、高性能だったり、低消費電力だったりする(図2)。最近は、SiO2絶縁層が非常に薄いSOIトランジスタが注目を集めている。SOI基板の裏側から電圧をかけることで、トランジスタの特性を制御することが容易になるからだ。今回のフォーラム名にあるFDSOIはfully depleted silicon on insulator(完全空乏型SOI)の略で(日経テクノロジーオンライン関連記事1)、Si層が非常に薄いSOIである。中でも、上述したSiO2絶縁層が非常に薄いタイプが注目を集めている。

 FDSOIの実用化には伊仏合弁STMicroelectronics社が積極的で(同関連記事2)、今回のフォーラムに登壇したSTマイクロエレクトロニクスのKirk Ouellette氏によれば(図3)、2013年にはセットトップボックス向けSoCの量産に28nm FDSOIを適用した。さらに同氏は、現在、STMicroでは、28nm FDSOIを製造に使うICの開発プロジェクトが18件も進んでいることも明らかにした。このうち一部は、2015年に製品として市場に現れる見込みである。