CYBERDYNEのロボットスーツ「HAL」を、術後間もない急性期脳卒中患者の下肢のリハビリに活用する――。そんな試みの結果が明らかになった。下肢の麻痺が軽いほど、効果は大きいという。回復期のリハビリにHALを使う事例は増えているが、急性期患者に用いた事例は少なかった。
「第54回 日本定位・機能神経外科学会」(2015年1月16~17日、都市センターホテル)で、福岡大学 医学部 脳神経外科の左村和宏氏が発表した。講演タイトルは「急性期脳卒中患者に対するロボットスーツHAL訓練の有効性の検討:下肢運動麻痺の重症度からの解析」。
手術翌日から利用
左村氏らのグループは2011年9月に福祉用HALを導入し、2014年7月までに106例のリハビリに利用した。このうち、下肢運動麻痺を伴う急性期脳卒中(脳血管障害)患者63例に対する結果を報告した。HALによるリハビリを手術翌日から始めたケースも含む。
HALの効果を検証するに当たり、同氏らは下肢運動麻痺の重症度に着目。その指標であるブルンストロームステージ(Brunnstrom Stage、I~VIの6段階で数字が小さいほど麻痺が重い)ごとに、HALによるリハビリの効果を調べた。具体的には、運動の自立度の指標であるBI(Barthel Index)とFIM(functional independence measure)が、HALによるリハビリの前後で有意差をもって変化するかどうかを、リハビリ前のブルンストロームステージ別に調べた。
HALによるリハビリは平均で3.9回実施。まずは膝を動かし、その後に座位・起立を訓練。次いで立位でバランスを取り、歩行訓練を行うという手順を踏んだ。