調査会社のブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)は1月14日、2014年の世界の再生可能エネルギー関連の投資額が、前年比16%増の3100億米ドルに拡大したと発表した。

 過去最高となった2011年の3175億ドルに匹敵する額となり、予想を大幅に上回る回復になったとしている。10年前の2004年の602億米ドルからは、5倍以上に拡大した。

 BNEFのMichael Liebreich諮問委員会議長によると、2014年は少なくとも前年比10%増と予測していたのに対し、同16%増と大幅に上回った。この要因は、太陽光発電への投資の加速にあるとし、太陽光発電のコスト競争力が、過去5年で大幅に向上したことが大きく影響していると分析している。

 また、Liebreich諮問委員会議長によると、原油価格の下落の影響は、発電事業よりも、道路輸送分野に対して大きいと予想している。

大規模なプロジェクトが世界各地で続々

 再エネ向けのアセットファイナンス(資金調達)は、前年比約10%増の1707億米ドルと、過去最高額を記録した。

 分野別でみると、トップとなったのは太陽光発電で、前年比25%増の1496億米ドルとなった。再エネ関連投資の約半分を占めた。2位が風力発電で、同11%増の995億米ドルと、過去最高額を記録した。

 2014年には、出力規模の大きな太陽光発電や陸上風力発電プロジェクトが立ち上がり、世界各地で大規模な投資が実施された。

 推定投資額11億米ドルの日本の瀬戸内市の出力250MW(太陽光発電)、投資額10億米ドルの南アフリカの出力100MW(太陽熱発電)、投資額8億5900万米ドルのケニアのトゥルカナ湖の出力310.5MW(風力発電)投資額7億2800万ドルのカナダのオンタリオ州での出力270MW(風力複合発電)などがある。

 また、欧州では、10億米ドル規模の洋上風力発電プロジェクトが7件、最終決定の段階を迎えた。投資額が38億米ドルのオランダ沖の出力600MW、投資額26億米ドルの英国海域の出力402MW、投資額17億米ドルのバルト海ドイツ領域における出力350MWなどのプロジェクトである。

 3位は、スマートグリッド、電力貯蔵、効率化、電化輸送などのスマートエネルギー技術で、同10%増の371億米ドルとなった。

 次いで、バイオ燃料が同7%減の51億米ドル、バイオマス・廃棄物エネルギーが同10%減の84億米ドル、地熱が同23%増の27億米ドル、小規模水力発電が同17%減の45億米ドルなどと続いた。

 また、政府や地方自治体、企業による研究開発への投資額は、前年比約2%増の290億米ドルとなった。スマートメーターといった、スマートエネルギー技術関連のアセットファイナンスは同8%増の168億米ドルとなった。

 ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティによる投資は、前年比16%増の48億米ドルとなった。しかし、2008年の123億米ドルに比べると、大きく下回っている。

 2014年のベンチャーキャピタルやプライベートエクイティによる主な投資には、米国のLiイオン畜電池メーカーのBoston-Power社の2億5000万米ドルの増資、米国の太陽光発電システム設置会社のSunnova Energy社の2億5000万米ドルの増資、米国の住宅用太陽光発電融資事業者のSunrun社の1億5000万米ドルの増資などがある。