住宅用太陽光設備への資金供給に追い風になる(写真はイメージ)
住宅用太陽光設備への資金供給に追い風になる(写真はイメージ)
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 2014年12月30日に与党が決定した「平成27年度税制改正大綱」に「緑の贈与」税制が盛り込まれた。これにより、今後、住宅の新築・取得・増改築などに併せて行う低炭素化設備(太陽光発電設備、太陽熱利用設備、地中熱利用設備、高効率給湯器、燃料電池コージェネレーションシステムなど)の設置のために贈与を受ける資金が、一定の省エネ性を満たす住宅として、住宅取得などの資金にかかわる贈与税の非課税措置の適用を受けることになる。

 住宅贈与税制の非課税措置の対象となる要件に、断熱性基準に加え、「一次エネルギー消費量基準(等級4以上)」を追加することで、「緑の贈与」の仕組みが実現した。

 「緑の贈与」とは、祖父母から子・孫への贈与資金を再エネ・省エネ促進に導く仕組みで、資産継承と環境への貢献を両立する制度。具体的には祖父母から子・孫の世帯に、太陽光発電設備や燃料電池コージェネなどを設置する資金を贈与した場合、一定の条件を満たす場合には贈与税が非課税となる。

 「緑の贈与」を活用すれば、祖父母にとっては、地球環境に貢献する有意義な贈与ができ、低炭素化設備を設置した子・孫の世帯には、光熱費の削減や太陽光発電の売電利益などが得られる。また、低炭素化設備の設置工事や省エネリフォームなどは、機器・部品メーカー、地場の工務店などにビジネスチャンスをもたらし、経済活性化や地方創生にも資する仕組みとして期待される。

 この仕組みは、公益財団法人・地球環境戦略研究機関(IGES)が提案していた。IGESは、独自の調査から、60代以上の世帯の2割(約400万世帯に相当)が平均して約300万円程度の緑の贈与を実施する可能性が高いと分析する。これによる経済効果は約12兆円に達し、大幅な再エネ・省エネに資するほか、海外からの化石燃料輸入の削減にも寄与するとしている。