電力会社ごとに算定された昼間低負荷時の供給力(出所:資源エネルギー庁の資料からISEP作成)
電力会社ごとに算定された昼間低負荷時の供給力(出所:資源エネルギー庁の資料からISEP作成)
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 環境系シンクタンクの環境エネルギー政策研究所(ISEP)、環境NGO(非政府組織)のFoE Japan、WWFジャパン、公益社団法人・自然エネルギー財団は、固定価格買取制度(FIT)の運用見直しに対して、相次いで意見や提言を発表した。

 提言内容で共通しているのは、系統ワーキンググループ(WG)による「再生可能エネルギーの接続可能量」の算定方法。なかでも原子力発電の扱いだ。FoE Japanは、「震災以前過去30年間の設備平均利用率(すべての原発の再稼働)」を前提とするのは、「震災後、原発を巡る状況が一変しており、…現実からかけ離れている」とする。WWFジャパンも「原発に関する非現実的な想定が自然エネルギーの導入量の制約となっている」と批判する。

 ISEPは、「『接続可能量』算定の基準となる昼間最低負荷時の供給力で、原発の占める割合が電力会社によっては6割程度となり(図)、結果的に太陽光発電の接続可能量を大幅に引き下げている」と指摘する。自然エネルギー財団も、「間もなく運転期間が40年に達する原発も含めてすべての原発を供給力として見込むことは、『エネルギー基本計画』の趣旨に反する」と指摘している。

 「指定電気事業者制度」への批判も共通している。同制度は、接続可能量を超えた接続申し込みのある電力会社を「指定電気事業者」に指定し、無補償の出力抑制を無制限に実施することを認める仕組み。北海道電力に続き、九州電力など5社が指定された。

 自然エネルギー財団は、「同制度は、事業性の見通しを不明確にし、ファイナンスを困難にする」とし、制度を適用する場合には、「恣意的な運用を防ぐために検証の仕組みを導入すべき」と提言する。FoE Japanも、「電力会社が出力抑制を行う場合には、説明責任を課すとともに、それを監視・検証する仕組みが必要」と指摘する。

 このほか、「接続可能量は定期的に見直すべき」(WWFジャパン)、「2015年度から地域間連系線の広域運用が導入されるにもかかわらず、ほとんど考慮されていない」(FoE Japan、自然エネルギー財団)、「そもそも接続可能量という考え方を撤廃すべきで、地域間連系線の活用などで十分対応可能」(ISEP)などの指摘があった。