東芝は100万台以上のInternet対応機器を遠隔地から効率的に制御できる新方式のサーバーシステムを開発した。外出中のエンドユーザーがInternetを介して自宅の家電機器を操作するサービスなどへの適用を想定している。2015年1月9~12日に米ラスベガスで開催される民生機器関連の国際学会「 IEEE Consumer Communications and Networking Conference 2015(IEEE CCNC 2015)」で発表する予定だ。

 具体的な事業化は今のところ未定だが、家電機器だけでなく「ヘルスケア機器や車載機器、社会インフラ機器、工場の製造装置といった多種多様なIoT(Internet of things)機器への適用に向けて研究開発を進める」(東芝 研究開発センター ネットワークシステムラボラトリー 研究主務の川添博史氏)という。

 家庭内でLANを構築する場合、ネットワークにつなぐ機器にはプライベートIPアドレスを割り振るのが一般的だ。この場合、Internet側から宅内の機器に通信接続のリクエストを送信すると「NAT越え」の問題で通信のセッションを確立できないことがある。このため家電の遠隔操作サービスなどでは、ユーザーからのリクエスト(制御信号)を中継サーバーで一時的に蓄積し、宅内の機器から定期的に中継サーバーに制御信号の有無を問い合わせる「ポーリング方式」が用いられている(図1)。

図1 ポーリング方式
図1 ポーリング方式
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