米PTC社IoT、SLM製品部門担当executive vice presidentのRob Gremley氏
米PTC社IoT、SLM製品部門担当executive vice presidentのRob Gremley氏
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 米PTC社のIoT、SLM製品部門担当Executive Vice PresidentであるRob Gremley氏は2014年12月9日、東京・高輪で開催された「PTC Live Tech Forum 2014」の基調講演に登壇し、同社のビジネス戦略とIoT(Internet of Things)の最新動向を解説した。

 Gremley氏は講演の冒頭、米IDCの「IoTソリューションの市場規模は2013年に1兆9000億米ドルに到達した」という調査データ、米Cisco Systemsの「2020年の時点で500億のデバイスがネットに接続される」や米McKinsey&Companyのレポート「Disruptive technologies」にある「2025年までにIoTの経済効果は6.2兆米ドルに拡大する。これは3Dプリンターによる経済効果の10倍に相当する」という予測を紹介。PTC社が2013年12月に米ThingWorx社、2014年8月に米Axeda社というIoT関連製品を手がける有力企業を相次いで買収するなど、IoT分野に多額の投資をしていることを力説した。

 ThingWorx社はデバイス管理やデータ分析などのIoTアプリケーションの開発・実行基盤、Axeda社はIoTデバイスとアプリケーション間のファイアウォール越しのセキュアなエンドツーエンド通信やデバイス認証のアプリを提供する企業である。

 Gremley氏は続けて、PTC社のCEO(最高経営責任者)であるJim Heppelmann氏とハーバード大学経営大学院教授のMichael Porter氏が2年間にわたる研究の結果にもとづいて共同執筆した論文「How Smart, Connected Products Are Transforming Competition」を紹介。この論文はHarvard Business Reviewの2014年11月号に掲載されたもので、「IoTの登場でバリューチェーンがその定義を変更せざるを得なくなっていること」「IoTによって自ら情報を発信するスマートコネクテッドプロダクト(Smart, connected products)が業界構造および業界境界に及ぼす影響」などを論じたものだという。

 同論文に登場するスマートコネクテッドプロダクトは、機械的部品(mechanical part)と電子部品(electrical part)で構成されていた従来の製品に、センサー、ストレージ、マイクロプロセッサー、ソフトウエア、様々な通信機能などを一体化したもの。「スマートコネクテッドプロダクトでは、メカによる制御が難しい処理はソフトで制御する。ソフトウエアのロジックは、自動運転などリアルタイム性が要求されるものはメカの内部、そうでないものはネットで接続されたクラウド側に置くことができる」(Gremley氏)。