21回目を迎えたアジア最大級のディスプレー国際学会「International Display Workshops」。今年(2014年)は、朱鷺メッセ 新潟コンベンションセンターで12月3日から3日間の日程で開催されている。論文数は、プレナリーセッションでの基調講演/招待講演が4件、招待論文103件、口頭発表165件、ポスター発表217件の合計489件(レイトニュースは119件)で、例年並みの量と質を維持している。

 発表者は、約半数が日本で、残り約半数が外国(台湾12%、韓国11%など)の研究機関である。最近は、ビジネス面ではディスプレー関連分野の日本企業は苦戦しているが、学会ではまだ圧倒的な存在感を示しており、“電子技術立国日本”の地位はまだまだ安泰だと思う。

 プレナリーセッションの基調講演/招待講演4件の発表は、内容が多岐にわたり、それぞれ興味深く聞いた。NHK放送技術研究所からの発表では、8K放送の実用化に向けた具体的な試験放送計画や製作環境の開発状況に加え、「東京オリンピックで普及のはずみをつけたい」という制作側からの強い意志を感じることができて心強かった。

 ディスプレイ業界としても是非8K映像を家庭に普及させるためのマイルストーンを具体的に示すべき時期に来たのではないだろうか。例えば、8Kならではの臨場感を得るためには100型以上の大画面が欲しいが、普通の据え置き型テレビだとマンションのエレベーターに乗らない。そこで、「酸化物TFTを用いた超大型フレキシブル8Kテレビをじゅうたんのように丸めて運んで、すべての家庭に普及させよう」といった一大キャンペーンをしてほしいところである。

 2件目の、各画素の反射光の波長をコントロールする新しい反射型ディスプレーも、「カラーの反射型ディスプレイは画面が暗い」という従来の常識を打ち破る可能性を持った画期的な技術であり、電子ペーパー並みの白を表現できるフルカラー反射型ディスプレーとして大きな期待ができそうである。このような発表を聞くと、ディスプレー技術もまだまだ発展の余地があると思う。