屋根散水システムに内蔵した太陽光発電装置(出所:三井住友建設)
屋根散水システムに内蔵した太陽光発電装置(出所:三井住友建設)
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エネルギー自立型屋根散水システムの仕組み(出所:三井住友建設)
エネルギー自立型屋根散水システムの仕組み(出所:三井住友建設)
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 三井住友建設は11月17日、東洋インキSCホールディングスの危険物貯蔵施設に屋根散水システムを設置・運用し、室温を10℃以上下げる効果を確認したと発表した。防爆仕様が求められる施設に対し、低コストの冷却手法として有望という。必要な電力を内蔵する太陽光パネルで供給することで、商用電力を使用せず、CO2を削減できる。

 屋根散水システムは、屋根に散水し、蒸発冷却効果を利用して屋根の温度を下げるシステム。温度を下げることで、屋根からの熱負荷と放射熱がなくなり、少ないエネルギーで室内の熱環境を改善できる。

 今回のシステムでは、散水の水使用量を削減するために、間欠的な散水と天候や温度により最適化する専用の制御システムを開発・適用した。制御盤だけでなく、散水の発停を行う電磁弁の動作も、この装置から供給できる。従来は、制御盤を案件ごとに設計、製作していたが、制御システムをパッケージ化することで、工事費を削減し、工期も短縮できるという。

 危険物製造所や取扱所は、防災上様々な規制があるうえ、消防からも定期的に査察され、施設の管理者にとっては重要な管理施設となっている。これらの施設で内部の建築設備に防爆仕様が求められる場合、溶剤の気化を防止するために室内を冷却しようとしても、エアコンなどは防爆仕様が必要となり、暑熱対策には多大な費用がかかった。屋根散水は、建物内部の加工がほとんど不要で防爆仕様にも対応できる点と、屋根の遮熱や断熱に比べて、より大きな冷却効果が得られるなどの利点がある。