発電量のデータ診断の流れ(出所:三井化学)
発電量のデータ診断の流れ(出所:三井化学)
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 三井化学とテンソル・コンサルティング(東京都千代田区)は11月17日、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の発電量低下を高精度で検出する診断技術を共同開発したと発表した。ビッグデータの分析技術を活用することで、従来手法より80倍以上の性能で検出できるという。

 三井化学がもつ「太陽光パネルの劣化・故障に関するデータおよび知見」と、テンソルがもつ「高度なデータマイニング技術」を組み合わせることで実現したという。三井化学の太陽光発電実証設備を活用して共同開発した。

 パワーコンディショナー(PCS)ごとの実際の発電量データを、独自に算出した「期待発電量」と比較することで発電量の低下を診断する。期待発電量は、日照量に加え、システム構成やパネルの汚れ、気象状況などの様々な影響をすべて自動的に取り込んで算出する。ビッグデータを用いたデータマイニング技術を活用し、統計数理モデルを構築することで、データの中に潜むかすかな出力の異常を検出するという。従来手法と比べ、80倍以上の診断性能を実現したという。

 太陽光パネルのメーカーやその他特定の条件を前提としないため、国内に限らず世界のメガソーラー発電所で発電量データ診断サービスを提供できるという。従来手法に対する優位性が確認できたため、三井化学が手掛ける「太陽光発電に関する診断・コンサルティング事業」で2015年度中に実用化することを目標に、さらに共同開発を進める。

 メガソーラーでは、太陽光パネルの劣化などによる発電所の発電量低下が売電収入の低下に直結するため、発電量の低下を精度良く検出することが重要になる。しかし、一般的なメガソーラーでは、太陽光パネルが約2000~3000枚繋がったPCSごとに発電量を監視していることや、気象状況などによって発電量が常に変動するため、太陽光パネルに起因した発電量の低下を精度良く検出することが難しい。過去の日照量データだけで算出した期待発電量と実際の発電量を比較する手法にとどまっていることが多い。