船井電機は、医療画像処理用プロセッサーなどを手掛けるエクストリリオンと、医療機器事業で提携した(pdf形式のリリース)。既に、歯科用X線CT装置と光音響イメージングシステムに関する共同研究を進めている。今回、業界初をうたうLED励起方式の光音響イメージング技術を共同で開発。医療分野での実用化を目指し、医療機器メーカーや医療機関と連携していく。

 歯科用X線CT装置は歯科に特化したX線CT装置で、インプラント治療などに使われる。この領域では、船井電機は既にエクストリリオンに診断ビューアーや操作コンソールを供給している。今後は、歯科用X線CT装置の革新に向けた要素技術の共同開発にも取り組む。例えば、画像再構成技術を生かした診断機能向上や被曝量低減を進める。

放射線なしで機能イメージング

 光音響イメージング分野では、その中核を成す、光音響効果を用いたLED励起方式のイメージングシステムを共同開発した。関連特許約60件を出願済みだ。光音響効果とは、光エネルギーを吸収した物質が断熱膨張によって微弱な音響波(超音波)を発する現象。これを利用したイメージング法を光音響イメージングと呼ぶ。

 従来の超音波画像診断が「形態イメージング」だったのに対し、光音響イメージングは特定物質の有無や濃度の違いをとらえる「機能イメージング」。例えば、血液中のヘモグロビンが近赤外光を吸収する際、光音響効果によって超音波を発生する。この超音波を画像化することで、ヘモグロビンを含む組織の位置や分布を把握できる。放射線を使わない非侵襲のイメージング手法で、医療分野などさまざまな領域で精力的に研究が進められている。