東芝と東北大学は、日本人向けゲノム(全遺伝情報)解析チップ「ジャポニカアレイ」を共同で開発した(リリース)。日本人に特徴的な遺伝情報をアレイに載せることで、日本人のゲノム情報を従来よりも高精度かつ低コストで解析できるようにした。東芝はこのアレイを用いたゲノム解析事業を、個別化医療や予防医療の実現を目指したコホート研究を進める医療機関や研究機関などに向けて2014年内に開始する(関連記事1、同2)。同社と東北大学は2014年11月14日、東京都内で共同記者会見を開催した。
“標準的な遺伝情報”をデータベース化
両者は2013年8月に、ヘルスケアビッグデータ分野の共同研究に関する協定を締結。科学技術振興機構(JST)のCOIプログラムに採択されたことを受け、同分野での共同研究を進めてきた。今回の成果はこのうち、東日本大震災の復興事業「東北メディカル・メガバンク計画」における東北大学の研究成果を活用したものである(関連記事3、同4)。
開発したジャポニカアレイは、東北メディカル・メガバンク計画の実施主体である東北大学 東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)が構築した「全ゲノムリファレンスパネル」をベースとする。全ゲノムリファレンスパネルは、大規模な人数の全ゲノム解読を行った結果を総合し、ゲノム配列中の1塩基多型(SNP)の変異箇所や発生頻度をまとめたデータベースで、日本人の“標準的な遺伝情報”としてさまざまなコホート研究に利用できるようにしたものだ。東北メディカル・メガバンク計画のコホート研究に登録した宮城県・岩手県の住民(現在までに約6万人)のうち、1000人分の全ゲノム解読データを基に構築した。