図1●軽量、高耐久なFRP架台で施工性も向上(出所:NTTファシリティーズ)
図1●軽量、高耐久なFRP架台で施工性も向上(出所:NTTファシリティーズ)
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図2●1000V化で発電システムの導入コストを削減(出所:NTTファシリティーズ)
図2●1000V化で発電システムの導入コストを削減(出所:NTTファシリティーズ)
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 NTTファシリティーズは11月7日、茨城県鹿嶋市の出力4.779MWのメガソーラー(大規模太陽光発電所)「F鹿嶋太陽光発電所」の竣工式を開催したと発表した。10月18日に発電を開始しており、同社にとって、35カ所目の事業用の太陽光発電所となった。

 年間発電量は、一般家庭約1500世帯分の消費電力に相当する、約5300MWhを見込んでいる。

 F鹿嶋太陽光発電所では、FRP(ガラス繊維強化プラスチック)架台を導入し、発電システムを直流1000Vで構成した。

 FRP架台は、旭硝子の子会社のAGCマテックス(神奈川県相模原市)と共同開発した。軽量で、耐久性が高く、形状自由度が高いというFRPの特徴を生かしたものという(図1)。この架台は、2014年度のグッドデザイン賞を受賞した(関連記事1)。

 垂木(太陽光パネルの左右を固定する部材)に凸部を設けた独自の断面形状とし、太陽光パネルの位置決めを容易にした。位置決め後も、架台の上部から下部にスライドさせてパネルを設置できるなど、施工時の作業効率を向上した。

 また、塩分の多い海岸沿いや、高温多湿な地域、多雪地域の融雪剤などによる腐食に対し、優れた耐久性を実現したとしている。

 さらに、顔料を混ぜた樹脂材料を使うことで、さまざまなカラーバリエーションの架台を製造できることから、立地と利用目的に最適な色合いの架台を提供できる。

 メガソーラーへの導入は、西部ガスと旭硝子の合弁による特定目的会社(SPC)「エネ・シードひびき」(福岡市博多区)の出力20.5MWのメガソーラー(関連記事2)に続く2件目。

 また、発電システムを1000Vで構成したことで、発電システムの導入コストの低減と、システムとしての効率の向上を実現した。

 一般的な600Vで構成した発電システムに対し、太陽光パネルを直列接続した単位であるストリング数を、最大40%削減できるとしている。高電圧化することで、一つのストリングを構成する太陽光パネルの枚数を増やせることで実現する。

 1000V対応としたことに加え、より大容量化したパワーコンディショナー(PCS)を採用したことで、PCSや集電箱、接続箱の台数の削減のほか、配線ケーブルの総延長の短縮によって、発電システムの導入コストが低減した。PCSは、2MW当たり従来に比べて1台削減した。

 また、配線における損失の低減、PCSの変換効率の向上によって、一般的に70%程度とされるシステム総合効率を最高90%まで高めた(図2)。

 太陽光パネルは中国・無錫サンテックパワー製、PCSは日立製作所製を採用した。

 このほか、独自の発電診断システムの導入により、気づきにくい故障や不具合を把握したり、発電量を診断できるようにした。ストリング、接続箱、PCS単位で、きめ細やかな発電診断の比較評価を可能とした。