手前左が電球型、手前右がダウンライト型のLED照明。奥は測定画面。
手前左が電球型、手前右がダウンライト型のLED照明。奥は測定画面。
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LED素子と、パナソニック製のミリ波レーダー素子を搭載
LED素子と、パナソニック製のミリ波レーダー素子を搭載
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測定結果の一例。対象との距離に応じた結果が得られる
測定結果の一例。対象との距離に応じた結果が得られる
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測定原理を説明するCQ-Sネット 代表取締役の齋藤光正氏
測定原理を説明するCQ-Sネット 代表取締役の齋藤光正氏
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 切削工具メーカーのユニオンツールは、レーダー素子を内蔵するLED照明を使った見守りシステム「レーダーライト」を2015年9月に発売する。天井に取り付けた照明と見守り対象者の距離をレーダーで測ることで、転倒などの異常を瞬時に検知したり、呼吸や睡眠の状態をモニタリングしたりできる。カメラや生体センサーを使った見守りシステムにつきまとう、“見られている”“機器を身に付けている”という不快感や緊張感をなくせる点が特徴だ。

 高齢者施設や介護施設などでの採用を見込んでおり、発売初年度に3億円の売り上げを目指す。2014年11月10日に東京都内で報道機関向け説明会を開催した。

 レーダーライトは、情報通信技術を用いた遠隔看護システムを手掛けるCQ-Sネットが開発し、特許を取得した技術である。LED照明器具にミリ波(24GHz)帯のレーダー素子と、無線LANチップを内蔵。天井に取り付けた照明と高齢者などの頭の距離を、レーダーの反射波を解析して測り、測定結果を無線LAN経由でサーバーに送信する。しゃがみこんだり倒れたりした場合には天井と頭の距離が急変することから、体調の異変などをすばやく検知し、離れた場所にいる介護従事者や家族に伝えられる。

 搭載するミリ波レーダー素子は、パナソニック システムLSI事業部が開発したもの。送信部と受信部をCMOS技術で1チップ化したもので、対象との距離を高精度に測れるFMCW(frequency modulated continuous wave)モードでの動作が可能。従来のミリ波レーダー素子に比べて小型で、LED照明器具に内蔵しやすくなった。

 正面方向は8m先までの対象を検出でき、正面から160度開いた方向では4m先までの対象を検出できる。高さ約3mの天井に今回のLED照明を取り付けた場合、「8畳ほどの室内をカバーでき、その範囲内にいる複数人の検出も可能」(CQ-Sネット 代表取締役の齋藤光正氏)である。