山梨県の横内正明知事は10月15日、記者会見において、メガソーラー(大規模太陽光発電所)関連で、二つの指針を示した。一つは、山林の伐採による景観や防災への影響への対策、もう一つは、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)の見直しによる山梨県のエネルギー戦略への影響である。

 同県では、2050年ころまでに、県内で必要な電力の100%を県内産の再生可能エネルギーで賄う、エネルギーの地産地消の実現を目指している。

 山梨県内では、メガソーラーの開発に伴う山林の伐採によって、景観や防災への影響を懸念する声が挙がっている。現在、山梨県では、富士山麓以外の地域において、こうした開発を抑制する規制は実施していない。

 横内知事によると、甲斐市の菖蒲沢で進んでいる29haの太陽光発電の開発エリアの一部で、民有地の森林を伐採しており、地域から土砂崩れの懸念が指摘されている。このため、県庁内に甲斐市を含めた検討チームを構成し、対応を検討している。

 また、甲府市の善光寺町で開発が進んでいる1.6haの太陽光発電所サイトでは、善光寺の参道から見えるため、景観上と安全上の問題が指摘されている。この案件では、現在、甲府市が対応を検討している。

 身延町の下八木沢地区で進んでいる約2haのメガソーラーの開発では、急峻な斜面の山林が、本来は届け出が必要にもかかわらず、無断で伐採されている。このため、県庁内に身延町を含めた検討チームを構成し、対応を検討している。

 横内知事は、山梨県が進めているエネルギーの地産地消戦略を推進していく上で、メガソーラーの導入は必要としながら、現在の開発のペースが想定以上に早すぎること、また、山林を開発する案件が多いことから、問題が生じていると分析している。

 具体的な対応として、山林の開発に必要な、林地開発許可の段階での指導や条例に基づく環境アセスメントの対応をより徹底していくこと、市町村による景観法に基づく景観計画と条例による規制を促すことを挙げた。

 一方、FITの見直しによる影響に関しては、状況を見ながら、必要に応じてエネルギーの地産地消戦略の見直しを含めて検討していきたいとしている。