図1 新製品を披露するテクトロニクスで代表取締役を務める米山不器氏
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図2 リアルタイム・スペクトラム・アナライザーの新製品「RSA306型」
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図3 RSA306型の構成例
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図4 価格表(テクトロニクスのデータ)
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 米Tektronix社は、リアルタイム・スペクトラム・アナライザー(リアルタイムスペアナ)の新製品「RSA306型」を発表した(発表資料)。パソコンやタブレット端末と接続して使う。本体価格は41万3000円(税別)で、従来の一体型品に比べて「半分以下に抑えた」(同社)という。

 「重さはたったの590gですが、これは本物のリアルタイムスペアナです。」――。2014年11月5日に都内で開催した報道機関向け発表会で、Tektronix社の日本法人であるテクトロニクスで代表取締役を務める米山不器氏はこう話しながらRSA306型を紹介した(図1)。

 RSA306型は、RF信号を取り込むフロントエンド部のみを備える(図2)。取り込んだ信号の解析や波形表示は、USB3.0に対応したケーブルを介して接続したパソコンやタブレット端末で実施する(図3)。RSA306型の電源供給もUSBケーブル経由でパソコン側から行う。RSA306型の消費電力は約4W。

分離型の計測器を展開へ


 テクトロニクスは、今回発表したRSA306型を「分離型」の計測器と呼ぶ。分離型計測器の利点はユーザーとメーカーの双方にある。まずユーザーにとっては、携帯性に優れる測定器を安価に手に入れられるようになる。RSA306型は、本体に加えてRF解析に必要なオプションを揃えても「100万円以下に抑えられる」(同社)という(図4)。これは、同等性能の従来の一体型品の半分以下の価格である。

 メーカーであるTektronix社にとっては、同社が得意とする広帯域の信号取り込み技術と、取り込んだ信号の解析ソフトの開発にリソースを集中できるようになる。従来の一体型の場合、内蔵するパソコン部も開発/設計する必要があった。分離型にすることで「これまで3年掛かっていたリアルタイムスペアナの開発リードタイムが、今回は9カ月に短縮できた」(米山氏)という。米山氏は「今後、新しい分離型のプラットフォームで次々と計測器を開発していく。今回はその第1弾」(米山氏)と展望を語った。