図1●日単位の出力抑制(左)を時間単位に変えると受け入れ発電量を増やせる
図1●日単位の出力抑制(左)を時間単位に変えると受け入れ発電量を増やせる
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図2●出力抑制日数上限引き上げの効果
図2●出力抑制日数上限引き上げの効果
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 経済産業省は10月30日に開催した総合資源エネルギー調査会・新エネルギー小委員会・系統ワーキンググループ(WG)の第2回会合で、再生可能エネルギーの接続可能量の拡大方策として4つの方向性を提示した。系統WGは、九州電力などが再エネの接続保留に踏み切ったのを契機に発足した。接続可能量を算定する方法について検証し、接続可能量の拡大方策について年内を目指してまとめる。

 第2回会合で提示した接続可能量の拡大方策は次の4つ。
(1)1日単位の出力抑制ルールを時間単位に見直す(時間単位の出力抑制)
(2)無補償の出力抑制日数の上限を引き上げたり、対象となる出力規模の下限を引き下げる(出力抑制日数の拡大、対象範囲の拡大など)
(3)蓄電池の設置・運用システムの開発
(4)地域間連系線の活用・増設

 4つの方策のうち、(1)と(2)はルールの見直しが実現すれば、追加コストを抑えつつ比較的短期に大きな効果が見込める。

 固定価格買取制度(FIT)に基づく現在のルールでは、電力会社は出力500kW以上の再エネ発電設備に対して年間最大30日まで無補償で出力抑制を要請できる。その際の出力抑制は日数管理が基本になっている。だが、太陽光や風力の発電量が1日中(24時間)、需要を上回る可能性は小さい。需要を上回る時間帯だけ出力抑制する方法に変えれば、系統が受け入れる発電量(kWh)を増やせる(図1)。

 加えて、年間30日を上限とした出力抑制ルールを見直し、上限日数を拡大したり、500kW未満の太陽光発電や風力発電まで出力抑制の対象を広げれば、接続可能量(kW)の増加が可能になる(図2)。

 (4)の地域間連系線も、送電線自体を増強するには時間とコストを要するものの、運用ルールの見直しは負担が小さい。現在、地域間連系線を活用する場合、送電する時間や量を事前申告し、それにしたがって利用する必要がある。出力変動の大きい風力や太陽光は事実上、蓄電池の併用が必要になるなど、コスト負担が大きくなる。例えば、九州電力管内で余剰になった再エネ電力を一定量、中国電力管内などで受け入れるための連系線の運用可能性を検証し、機動的に使えるような運用ルールの変更も有望視される。

 系統WGでは、4つの拡大方策について、今後さらに詰めていく方針だ。