太陽光パネルの世界市場の推移(出所:富士経済)
太陽光パネルの世界市場の推移(出所:富士経済)
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 富士経済(東京都中央区)は10月27日、太陽電池関連市場の調査結果を発表した。

 太陽電池モジュール(太陽光パネル)の世界市場は、世界各国の導入支援策に支えられ、2013年は出力ベースで45.855GW、金額ベースでは3兆1300億円となり、出力ベース、金額ベースともに拡大した。

 2030年には、出力ベースで2013年に比べて2.7倍の123.6GW、金額ベースで同1.6倍の5兆1270億円に拡大すると予想している。

 主要需要地は、これまでの欧州から、日本や中国などのアジアに移っている。中国は、2013年に生産と導入量ともに世界最大となった。

 市場は、出力ベースでは年々拡大してきた。金額ベースでは、価格下落により出力ベースの推移と連動していない。スペインショックによる需給の緩みと世界的な景気後退が併発した2009年、欧州金融危機が影響した2012年に大幅に下落し、金額ベースで大きく減少した。

 価格の下落は、太陽光発電の普及の促進に結びつき、計画以上の導入を達成する国や地域が出てきている。発電コストと電気料金が同等となるグリッドパリティを達成した例も少なくない。

 また、近年のアジアを中心とする需要の拡大によって、工場の稼働率が向上し、設備投資も回復しつつある。メーカーの収益改善に伴って、新たな生産技術や部材の導入、製品開発が活発化している。

 富士経済では、太陽電池関連市場は政策の支援に伴う特需による拡大は、いずれ収束するものの、太陽光発電システムの販売価格の低下によって、導入の経済的な障壁が下がれば、政策に依存しない市場への移行が期待できると分析している。

 地域別では、従来の主力市場だったドイツ、イタリア、中国、日本、米国以外でも導入機運が高まっていくと予想している。

 パワーコンディショナー(PCS)の世界市場は、2013年は出力ベースで40GW、金額ベースで1兆1000億円となった。2030年には、出力ベースで2013年に比べて4.9倍の195GW、金額ベースで同3.2倍の3兆5000億円となる見通し。

 最大の需要地は欧州で、例えば、中型機の世界市場の4割を占めているものの、近年は需要が低調となっている。

 一方、中国やインドなどの新興国、電力ポートフォリオを見直す米国や日本などで需要が急増している。これらの地域では、優遇政策への依存度が高い、地上設置型の大型案件が多く、大型機の需要が拡大している。

 長期にわたって太陽光発電が浸透していくためには、屋根設置型や住宅用の導入を促進する環境を整える必要がある。そこでは、中型機が一定の需要を維持すると予想している。また、今後はリプレイス需要にも期待される。

 日本市場については、太陽電池モジュール市場が、2013年度は出力ベースで8.65GW、金額ベースで8100億円となった。2030年度は、出力ベースで2013年度に比べて127.2%となる11GW、金額ベースでは同1.2%減の8000億円となる見通し。

 日本市場は、2012年7月の固定価格買取制度(FIT)の施行以降、急速に拡大している。2014年度にも、2012年度の認定分である買取価格40円(税抜き)の案件が数GW分残っており、さらに2013年度の認定分である36円(同)案件向けの出荷も本格化している。

 こうしたことから、2014年度の出荷量は10GWが見込まれ、それをさらに上回る可能性がある。2015年度も2014年度並みの出荷量が予想されるが、価格下落により金額ベースでは縮小する見込み。2016年度以降も数年間は9GW台を維持すると予想している。