米国の調査会社であるNavigant Research社は10月、世界のバーチャルパワープラント(仮想発電所:VPP)の合計容量が、2023年までに5倍以上に拡大するとの調査結果を公表した。2014年の4800MWから、2013年には2万8000MWに拡大する。

 VPPとは、太陽光発電所のような、地域にある複数の分散型電源や、電力の需要抑制システムを統合することによって、あたかも一つの発電所のように制御することを指す。ソフトウェアや情報通信技術(ICT)を活用することで、電力網の需給バランスを最適に維持できる技術として注目されている。

 Navigant Research社では、太陽光発電所などの分散型の電源を、VPPとして最適に活用することで、「エネルギークラウド(energy cloud)」と呼べるような、公開市場において、誰でも、どこでも、エネルギー関連サービスを売買できるようになるとしている。

 同社によると、VPPの構想や計画が洗練されつつある上、入札を活用して利用する分散型電源を多様化できるようになったことで、数年前に想定されていた手法とは、異なる方法でVPPによる配電を実現できる可能性が出てきている。

 こうした新たな手法を使いこなすようになることによって、市場における取引のルールを新たに定める必要が出てきている。新たなルールは、電力網の相互乗り入れなどを促進しやすくする方向で確立すべきだとしている。

 VPPを構成する最も重要な技術分野は、デマンドレスポンス(需要応答:DR)である。DRは、米国で先行し、欧州でも着実に浸透し始めているという。