分散型電力貯蔵システムの構成(出所:エリーパワー)
分散型電力貯蔵システムの構成(出所:エリーパワー)
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 大型Liイオン蓄電池メーカーのエリーパワー(東京都品川区)は10月22日、太陽光発電用の「マイクロインバーター」で世界トップシェアの米Enphase Energy社と、分散型電力貯蔵システムに関して長期的な提携の覚書を締結したと発表した。

 「マイクロインバーター」とは、太陽光パネルの裏面に設置するタイプの、小型のパワーコンディショナー(PCS)である。既存のPCSは、太陽光パネルが発電した電力を、接続箱、集電箱を介して集め、直流から交流に変換する「集中型」の処理をする。

 これに対して、マイクロインバーターは、PCSの機能を、太陽光パネルごとの「分散型」の処理に変える。太陽光パネル単位で出力を交流に変えることで、既存の集中型のPCSを介さずに、そのまま電力系統に接続できるようにする。

 覚書の締結に基づいて、エリーパワーは、Enphase Energy社向けに容量約1.2kWhの蓄電池モジュールを供給する。

 Enphase Energy社は、太陽光パネルと双方向型のマイクロインバーター、蓄電池モジュールをパッケージ化した分散型電力貯蔵システムを、全世界向けに2015年から発売する予定。

 この分散型電力貯蔵システムでは、業界初となる双方向型のマイクロインバーターと、エリーパワーの蓄電池モジュールも一体化し、蓄電池モジュールごとに交流変換する。

 Enphase Energy社製のマイクロインバーターを採用した太陽光発電システムと、この分散型電力貯蔵システムを連携させることで、住宅内のエネルギーマネジメントが最適化できるとしている。

 また、住宅内の配線が、すべて交流ケーブルとなるため、従来の集中型システムのような直流高電圧の配線が不要となる。これによって、設置工事が容易になる上、安全性が高く、システム拡張が容易になるとしている。