ディスプレー用ドライバーIC市場の成長が今後も続きそうだ。同市場は2012年の64億米ドルから2018年には73億米ドル規模に成長すると、米NPD DisplaySearchが新たに発行した「ディスプレイ用ドライバーIC技術&市場調査レポート 2014年版」で明らかにしている。高精細化と平均価格上昇、機能統合などがこの成長を後押しし、テレビ用液晶パネルとスマートフォン用有機ELパネルの継続的な出荷増加もドライバーIC需要を喚起するという。

 NPD DisplaySearchのFPD部材担当アナリストの宇野匡氏は「高解像度ディスプレーは多チャネルのドライバーICを必要とする。また、スマートフォン用ディスプレーのドライバーICにタッチコントローラーを統合する動きも進んでいる。こうした背景から、半導体/ファウンドリー企業がディスプレー用ドライバーIC事業で忙しい状況が続いている」と言う。

 デスクトップパソコン用のモニターやノートパソコンでは、ゲートドライバー機能をガラス上に作り込む「GOA(gate on array)」技術を採用した狭額縁化が進み、ゲートドライバーICの需要が減少している。一方、ディスプレーの高精細化によって、ソースドライバーIC市場は急成長している。NPD DisplaySearchによると、スマートフォンディスプレー用ドライバーICの需要は2012年から2018年にかけて約3倍増になり、出荷額は1億3900万米ドルから3億2500万米ドルへと拡大する見通しだ。半導体メーカーでは、かつてはプロセッサーに配置していた機能を中小型ディスプレイ用ドライバーICに組み込む動きが進んでいる。

 2014年から2015年にかけてのディスプレー用ドライバーIC市場は、供給がタイトになっている。台湾のTaiwan Semiconductor Manufacturing Co., Ltd.(TSMC)やUnited Microelectronics Corp.(UMC)、その他のファウンドリー企業が携帯機器向けのメモリーやプロセッサーなど価値の高いICの製造に注力しているからだ。ドライバーICやTCON(タイミングコントローラー)は比較的安価なため、他のICに比べて事業の優先順位は低くなる。ファウンドリー企業は、ICのファウンドリー価格を引き上げてはいない。宇野氏は「モバイル機器向けの半導体需要が伸びている限り、ドライバーICとTCONの不足は続くだろう」と指摘している。

ドライバーIC出荷額
図 ディスプレー用ドライバーIC出荷額予測(2012~2018年)