講演する瓜生 一英氏 日経エレクトロニクスが撮影。
講演する瓜生 一英氏
日経エレクトロニクスが撮影。
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図1●TDR特性の測定系 パナソニックのスライド。
図1●TDR特性の測定系
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図2●ADS上にバーチャルなTDR特性の解析系を構築 パナソニックのスライド。
図2●ADS上にバーチャルなTDR特性の解析系を構築
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図3●ホットなTDR特性測定系 パナソニックのスライド。
図3●ホットなTDR特性測定系
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図4●ホットなTDR特性測定系をADSベースでバーチャルに構築 パナソニックのスライド。
図4●ホットなTDR特性測定系をADSベースでバーチャルに構築
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図5●シミュレーションを使い設計段階でも特性把握 パナソニックのスライド。
図5●シミュレーションを使い設計段階でも特性把握
パナソニックのスライド。
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 電子機器の標準規格や雑音規制への準拠を速やかにするために、設計時にボードの伝送線路シミュレーションを実施する例が増えている。ただし、やみくもにシミュレーションしても、時間やコストが膨らむばかりである。効果的な伝送線路シミュレーションを行うためのポイントを、パナソニックが講演で語った。

 この講演は、「KEYSIGHT DESIGN FORUM 2014」(キーサイト・テクノロジーが2014年10月14日に東京で開催)で行われた。登壇したのは、パナソニックの瓜生 一英氏(オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社 新規事業本部 インダストリアル事業開発センター システム事業統括グループ)である(写真)。講演タイトルは「HDMI2.0/6Gbpsの高速伝送実現のためにシミュレーションができることは?」だった。

 同氏が語ったポイントは3つある。第1に測定手法を理解して、それに対応したバーチャルな解析系をシミュレーター上に構築すること。第2に、時間軸でシミュレーションする際には、モデルの精度や規模に注意を払うこと。第3に、HDMIといった高速伝送系の試作前シミュレーションでチェックすべき特性である。

HDMI 2.0ではVNAが必要

 まず、第1のポイント。測定手法を理解して、それに対応したバーチャルな解析系をシミュレーター上に構築することである。今回の講演では、サンプリングオシロスコープを使ってTDR(time domain reflectometer)特性を測る系を紹介し(図1)、そのバーチャルな系を米Keysight Technologies社のEDAシステム「ADS」の回路シミュレーターを核に構築して、TDR特性を求めた例を見せた(図2)。

 さらに、HDMI 2.0準拠のチェックに必要なホットTDR特性測定(デバイスがオン状態でのTDR測定)を紹介した(図3)。デバイスがオン状態のためにトランスミッターのスプリアスを回避するために、サンプリングオシロコープではなく、VNA(vectrol network analyzer)で測定する必要があるとした。VNAの測定結果は周波数軸となるため、逆FFTを施して時間軸に変換する。このバーチャルな測定系もADSに構築した(図4)。

 瓜生氏は、リアルな系でのインピーダンス計測結果と、バーチャルな系でのインピーダンスシミュレーション結果(+逆FFT)を比較した結果も見せた。なお、リアルな系は、パナソニックのHDMI 2.0対応通信IC「MN864777/MN864778」(日経テクノロジーオンライン関連記事)向けの評価ボードや、KeysightのVNAなどからなる。このバーチャル系をADS上で開発している。両者から得た時間軸インピーダンス波形はほぼ同じで(図5)、バーチャル系がADS上に精度よく構築されているとした。