講演する人見 光夫氏
講演する人見 光夫氏
[画像のクリックで拡大表示]
内燃機関に注目する理由
内燃機関に注目する理由
[画像のクリックで拡大表示]

 マツダは4期連続の赤字から、2013年度に黒字回復した。その回復の原動力と言える新技術の「SKYACTIV」に関して、同社の人見 光夫氏(常務執行役員、技術研究所・パワートレイン開発・電気駆動システム開発担当)が講演した。

 この講演は、「DAシンポジウム2014」(情報処理学会 システムとLSIの設計技術研究会が開催)と「第16回 組込みシステム技術に関するサマーワークショップ」(組込みシステム技術に関するサマーワークショップ 実行委員会が開催)の合同基調講演として2014年8月28日に行われた。人見氏はSKYACTIV技術の開発に関して、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)でなく、内燃機関の自動車に注力した理由、SKYACTIVエンジン開発に至るまでの経緯、品質確保の手段等に触れつつ、説明した。

20年後も主流は内燃機関車

 まず、なぜ内燃機関なのか。同氏によると、車外から直接電力供給できるEVやPHVに比べて、ガソリン車やディーゼル車等の内燃機関車(HV(ハイブリッド車)は外から電力ではなく燃料のみ供給しているので内燃機関車に含めるとのこと)が、自動車市場においては依然として大部分を占めている。また、今後20年間の新車販売台数予測でも、以下の2つの理由により、内燃機関車が主流のままと見る。

 (1)ガソリン/軽油給油と比べて、EV/PHEVは外からの充電に時間がかかる。さらに満充電後の航続可能距離が内燃機関車に比べて短い。(2)EV/PHVはモーターでの走行時にCO2を発生しないが、発電所での発電時にCO2を放出している。

 すなわち、内燃機関の改善なくして環境貢献はあり得ない、とした。