米Linear Technology社の日本法人であるリニアテクノロジーは、無線センサ―ネットワーク技術「SmartMesh」の事業拡大を目指し、2014年10月17日、「ダスト・コンソーシアム」を立ち上げた(関連記事)。SmartMeshを使った製品・サービスを提供する企業の情報交換や商談の場とする考え。同日行われたコンソーシアムの第1回会合では、日本エマソンやNTTファシリティーズが、SmartMeshの活用事例を紹介した。

講演する日本エマソン エマソン・プロセス・マネジメント事業本部 マーケティンググループの一木澄隆氏
(写真:日経テクノロジーオンライン)
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 化学プラントなど向けの制御システムやフィールド機器を製造・販売する米Emerson Electric社は、SmartMeshを使ったフィールド用無線センサーネットワークを「Smart Wireless」の名で提供している。SmartMesh WirelessHARTが国際標準規格(IEC62591)化された当時(2010年)は1200件程度だった販売実績が、2014年現在では全世界で1万9500件ほどに増加したという。

 顧客から特に高く評価されているのが、SmartMeshの「自己組織・修復」という特徴だ。SmartMeshは、各ノードを設置して電源を入れるだけで、通信経路を自動構築し、一部ルートが途切れた場合も代替経路を自動的に構築していく機能を持つ。このため、工事車両や足場などが敷地内を頻繁に移動するフィールドや、広大な敷地内にタンクが点在する製油所などで、採用が進んでいる。

 国内の石油精製プラントに導入した例では、約1カ月の試験中、特定のノードの通信経路で1619回もの通信経路切り替え(自己修復)があった。経路変更のログを解析した結果、そのノードの付近を通る一般道路の車両の影響を受けていたと推定されるという。「経路固定式のネットワークでは対応できなかった。また、1619回も経路を切り替えてもネットワークは切れず、信頼性の高さを示した」(日本エマソン エマソン・プロセス・マネジメント事業本部 マーケティンググループ 一木澄隆氏)。Smart Wirelessは国内で160件の導入実績があり、WirelessHARTは工業用無線規格では最多のシェアを獲得している。