図1:再生可能エネルギー接続可能量の算定フロー(出所:経産省)
図1:再生可能エネルギー接続可能量の算定フロー(出所:経産省)
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図2:再生可能エネルギー接続可能量の算定イメージ(出所:経産省)
図2:再生可能エネルギー接続可能量の算定イメージ(出所:経産省)
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図3:算定の前提となる各項目の基本的な考え方(出所:経産省)
図3:算定の前提となる各項目の基本的な考え方(出所:経産省)
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 経済産業省は10月16日、総合資源エネルギー調査会・新エネルギー小委員会の下に設置した「系統ワーキンググループ(WG)」の第1回会合を開いた。系統WGは、九州電力など4社が、再生可能エネルギーの接続申し込みの回答を保留したことを受けて設置した。中立的な専門家により、電力会社の接続可能量を検証し、接続可能量の拡大方策について審議するのが目的だ。

 第1回会合では、接続可能量の算定方法に関する「基本的な考え方」を整理した。接続可能量の算定には、各電源や揚水の運用、再生可能エネルギーの出力抑制、連系線などの活用手法や運用ルールが大きく影響する。今回の算定では、現在の制度を前提とし、運用の見直しを前提とする場合は、オプションとして検討する。

 算定のフローは、図1のように評価対象とする時点や需要想定、想定出力などを決定し、現状制度のなかで需給を解析する。図2のようなイメージとなる。ベースロード電源(原子力、地熱、一般水力)と火力発電の最低出力分が優先され、それを超えた需要を風力と太陽光が担う。日中に太陽光の出力が増大し、需要を上回る場合には、まず揚水を汲み上げ、それでも余剰になる分は再エネの出力を抑制するという順番になる。

 算定の前提となる各項目については、検討断面については「1年(8760時間)を通じた各時間」、需要想定(需要カーブ)や再エネの発電実績は2013年度分を使う(図3)。原子力発電は現在、停止しているが、各社が稼働を想定している設備が前提になる。

 こうした算定方法によって、九州電力、沖縄電力、四国電力、東北電力、北海道電力の各電力が接続可能量を算定し、今後のWGの場で検証することになる。

 算定値の検証で議論になりそうなのが、揚水式水力の運転方法、火力の最低出力の想定に加え、風力・太陽光の出力を想定する際の平滑化効果、風力と太陽光の天候による稼働時間帯のズレをどう評価するか、などだ。連系線の活用は現行のルールでは、出力の変動する風力・太陽光については、蓄電池や火力発電などと組みわせて計画的に利用する必要があるため、接続可能量の増大効果は限定的と思われる。ルール変更による拡大策はオプションとして検討することになる。