ミックストシグナルICの電源雑音をシミュレーションで解析する技術に関して、東芝が講演した。これまでアナログ部とデジタル部は別々に解析することが多かったため、境界部のトラブルをシミュレーションでは見つけられなかった。今回は両方を一緒に解析して解析精度を向上させながら、処理時間やメモリー使用量を実用的な範囲に収めた。

 この講演は「ANSYS Electronics Simulation Expo 2014」(アンシス・ジャパンが2014年10月9日と10日に東京で開催)で行われた。講師として登壇したのは、東芝のセミコンダクター&ストレージ社の南 文裕氏(イメージセンサ事業統括部 イメージセンサ技術部 参事)である。

図1●従来はアナログとデジタル部を別々に解析していた 東芝のスライド。
図1●従来はアナログとデジタル部を別々に解析していた
東芝のスライド。
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 同氏によれば、アナログ回路とデジタル回路を混載したミックストシグナルICの品種数は増えている。しかし電源雑音解析はシミュレーション時間の関係からアナログ部とデジタル部を別々に解析することが一般的だった(図1)。例えば、フルチップの回路シミュレーションは数週間を要するという。

 このため、アナログ部とデジタル部にまたがる問題点はシミュレーションでは発見できないといった課題があった。例えば、電源を共通にするアナログとデジタルで何が起こっているのかはシミュレーションでは見られなかった。