高効率太陽電池用「NanoGramシリコンペースト」(出所:帝人)
高効率太陽電池用「NanoGramシリコンペースト」(出所:帝人)
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高効率太陽電池(出所:帝人)
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 帝人は9月29日、米子会社のナノグラム・コーポレーション (以下「ナノグラム社」)と共同で、「L-BSF(ローカルバックサーフェスフィールド)型」の高変換効率太陽電池を製造するための材料となる「NanoGramシリコンペースト」、とその加工技術を世界で初めて開発したと発表した。

 太陽電池の開発では近年、従来の汎用的なシリコン結晶系太陽電池の裏面電極を改良することで高い変換効率が得られる新しいタイプの太陽電池「L-BSF型太陽電池」が注目されている。帝人は、ナノグラム社と共同開発を進めてきたプリンタブルエレクトロニクス材料「NanoGramシリコンペースト」が、L-BSF型太陽電池を高効率化する材料であることを発見し、改良してきた。並行して、その加工技術も開発してきた。

 L-BSF型太陽電池は、裏面に絶縁層を持ち、「不純物拡散層」が裏面の電極とその真下に部分的に配置されることにより、太陽電池基板内で発生する電気を効率良く集められる。帝人は、「不純物拡散層」の形成に「NanoGramシリコンナノ粒子」が有効であることを突き止め、ホウ素やリンなどの不純物を内包する直径20ナノメートル程度のシリコンナノ粒子をペースト加工した「NanoGramシリコンペースト」を開発した。

 「NanoGramシリコンペースト」を太陽電池基板に印刷し、加熱することで高性能の「不純物拡散層」を形成でき、変換効率の高いL-BSF型太陽電池を製造できるという。さらに、「不純物拡散層」を形成したいところに印刷するためのスクリーン印刷技術と、印刷したペーストを高温で基板内に拡散させるためのレーザー加工技術を開発した。これにより、L-BSF型太陽電池の変換効率が0.5%向上することを確認したという。

 帝人は、太陽電池メーカーに対し、「NanoGramシリコンペースト」の採用を働きかけ、共同開発を目指すという。