ADASや自動運転などに向けてクルマにおけるエレクトロニクスの役割は大きくなる一方だ。車載電子機器は、車載受信機保護のための雑音規格「CISPR25」に沿うことが求められている。ボードや機器が出来上がってから雑音対策は打つのでは遅いことは分かってはいるものの、設計段階でのシミュレーションがなかなかうまく行えないのも真実だ。

講演する中村 篤氏 日経エレクトロニクスが撮影。
講演する中村 篤氏
日経エレクトロニクスが撮影。
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図1●ケーブルからの輻射雑音はボード端の揺れを見る アルティメイトのスライド。
図1●ケーブルからの輻射雑音はボード端の揺れを見る
アルティメイトのスライド。
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  ボード雑音のシミュレーションを効果的に行うためのポイントについて、アルティメイトテクノロジィズの中村 篤氏(取締役 CTO)が「Automotive Simulation World Congress 2014/ANSYS Electronics Simulation Expo 2014」(アンシス・ジャパンが2014年10月9日と10日に東京で開催)で講演した(写真)。本題からちょっとそれるが、同氏は日立製作所やルネサス テクノロジ、ルネサス エレクトロニクスで半導体パッケージやボード回りの設計やシミュレーションの技術に長年携わっており、Tech-On!や日経テクノロジー オンラインでもその技術を何回か紹介している(日経テクノロジーオンライン関連記事1同関連記事2同関連記事3同関連記事4同関連記事5)。以下、今回の講演で同氏が話したいくつかのポイントを紹介する。

ボード端点での揺れを見る

 同氏によれば、ボード起因の輻射雑音はまずボードに接続したケーブルで顕著になる。動作周波数が80MHzを超えたあたりから、ケーブルで発生する輻射雑音に気を配る必要がある(なお、ボード自体からの輻射雑音は500MHを超えたあたりから気にかける必要があるようだ)。「ケーブルで発生する雑音は、ケーブルと接続するボード端での電源/グランドの揺れを見て検討すべき」というのが同氏の指摘である(図1)。ボード内部の電源/グラウンドが揺れても、それが逆相ならばボード端では電圧変動が見られないため、ケーブルで発生する輻射雑音の観点からは気にしなくて良くなる。