中東・アフリカにおける太陽光発電所の建設計画に占める稼働済みプロジェクトの比率(出所:米NPD Group社)
中東・アフリカにおける太陽光発電所の建設計画に占める稼働済みプロジェクトの比率(出所:米NPD Group社)
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 米NPD Group社の太陽電池部門であるSolarbuzzは9月、中東・アフリカ地域の太陽光発電システム設置市場の見通しを発表した。

 中東・アフリカ地域では、計画中、または、計画前段階にある数MW規模のメガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設プロジェクトが多くあり、今後の高成長が見込まれている。

 調査対象としたアフリカの29カ国と中東の7カ国において、今後、建設される太陽光発電所の潜在的な計画の合計出力は、アフリカで11GW以上、中東で少なくとも1.3GWに達している。

 計画の99%は地上設置型となっている。また、平均出力の規模は、既存の計画に比べて大きい傾向にある。特に、これまでメガソーラーが建設されていなかった国や、建設が盛んでなかった国ほど、大規模なメガソーラーを計画する傾向がある。

 中東・アフリカ地域において、これまで太陽光発電所の建設が進んできたのは、経済的に豊かな限られた国だった。市場の中心となってきたのは、南アフリカとイスラエルである。この両国とサウジアラビアでは、今後数年間、安定した太陽光発電システム設置が見込まれている。

 今後は、中東・アフリカ地域の他の国々でも、大規模な建設プロジェクトが進むことで、他国の市場シェアが上昇しつつあるとしている。アフリカで建設予定の太陽光発電所の合計出力が最も大きいのは、ケニヤとジンバブエとなっている。

 アフリカでは最近、アルジェリア、カメルーン、エジプト、エチオピア、ガーナ、ケニヤ、モロッコ、ナイジェリア、セネガル、南アフリカ、スワジランド、チュニジア、ウガンダ、ザンビア、ジンバブエにおいて、出力50MW以上のメガソーラーの建設が発表されている。

 アフリカの稼働済みの太陽光発電所の大半は、南アフリカに集中している。南アフリカに完成済みの太陽光発電所の合計出力は約700MWに達しており、他のアフリカの国の合計の10倍以上となっている。

 アフリカで計画されている太陽光発電所のうち、稼働済みのプロジェクトは7%にとどまっている。

 南アフリカ以外でメガソーラーが稼働済みの国は、ベナン、カーボベルデ、モーリタニア、セネガル、ウガンダのみとなっている。

 アフリカ市場が活発になりつつある理由として、サハラ以南を中心とする電力供給のニーズに加え、欧州市場の冷え込みから、プロジェクト開発事業者がアフリカ市場の開拓に注力しているためとしている。

 ただし、アフリカ市場にはリスクもある。エネルギー・インフラの脆弱さや、汚職や腐敗といった政治的リスク、社会的な不安定さなどを挙げている。

 中東では、最大市場のイスラエルにおいて、合計出力260MW以上の太陽光発電所が稼働済みで、稼働済みのプロジェクトは22%と、アフリカに比べて高い。今後も同300MW以上の太陽光発電所の建設が予定されている。

 計画のうち、95%以上を地上設置型が占めているものの、イスラエルでは屋根設置型が大きく伸びている。