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 厚生労働省は2014年9月29日、いわゆる「ソフトウエアの医療機器化」に関する意見の募集(パブリックコメント)を開始した。同年11月25日に施行予定の改正薬事法、すなわち「医薬品医療機器等法」では、単体のソフトウエア(法律内でプログラムと表記)を医療機器の範囲に加え規制対象にすることが規定されている。今回のパブリックコメントでは、「医療機器に該当するプログラム」と「医療機器に該当しないプログラム」の案を例示。同案に対する意見を求めている。

 2014年11月25日の施行を控え、同年10月中には最終的な通知を出す予定のため、意見の受付締切は同年10月13日。電子政府の総合窓口(e-Gov)の意見提出フォーム、あるいはFAX・郵送のいずれかの方法で意見を提出できる。

 今回のパブリックコメントで示された「医療機器に該当すると考えられるプログラム」と「医療機器に該当しないと考えられるプログラム」の案は次の通りである(文字表記は原文通りに記載)。

医療機器に該当するプログラム

1)医療機器で得られたデータ(画像を含む)を加工・処理し、診断又は治療に用いるための指標、画像、グラフ等を作成するプログラム

1 診断に用いるため、画像診断機器で撮影した画像を汎用コンピュータ等に表示するプログラム(診療記録としての保管・表示用を除く)

2 画像診断機器で撮影した画像や検査機器で得られた検査データを加工・処理し、病巣の存在する候補位置の表示や、病変又は異常値の検出の支援を行うプログラム(CADe(Computer-Aided Detection))

3 CADe 機能に加え、病変の良悪性鑑別や疾病の進行度等の定量的なデータ、診断結果
の候補やリスク評価に関する情報等を提供して診断支援を行うプログラム(CADx(Computer-Aided Diagnosis))

4 造影剤を用いて核医学診断装置で撮影した画像上の造影剤濃度や放射性医薬品濃度の経時的変化データを処理して生理学的なパラメータ(組織血流量、負荷応答性、基質代謝量、受容体結合能等)を計算し、健常人群等との統計的な比較を行うプログラム

5 簡易血糖測定器等の医療機器から得られたデータを汎用コンピュータ又は携帯情報端末に転送し、測定データを加工・処理して糖尿病の重症度等の新たな指標の提示を行うプログラム

6 一つ又は複数の検査機器から得られた検査データや画像を加工・処理し、診断のための情報を提示するプログラム(例えば、眼底カメラ、眼撮影装置、その他眼科向検査機器から得られた画像や検査データを加工・処理し、眼球の組織・細胞や層構造について、形状・面積・厚さ・体積・濃度・色等を表示するプログラムや、眼底カメラ、眼撮影装置、その他眼科向検査機器から得られた画像や検査データを加工・処理し、眼球の組織・細胞や層構造について、形状・面積・厚さ・体積・濃度・色等の形態情報との相関比較を行うプログラム)

2)治療計画・方法の決定を支援するためのプログラム(シミュレーションを含む)

1 CT等の画像診断機器から得られる画像データを加工・処理し、歯やインプラントの位置のイメージ画像の表示、歯科の矯正又はインプラント治療の術式シミュレーションにより、治療法の候補の提示及び評価・診断を行い、治療計画の作成、及び期待される治療結果の予測を行うプログラム

2 放射線治療における患者への放射線の照射をシミュレーションし、人体組織における吸収線量分布の推定値を計算するためのプログラム(RTPS(放射線治療計画システム))

3 画像を用いて脳神経外科手術(形成外科や耳鼻咽喉科、脊椎外科などの手術を含む)をナビゲーションするためのプログラム

4 CT等の画像診断機器で撮影した画像を加工・処理して、整形外科手術の術前計画を作成するためのプログラム

5 画像診断機器や検査機器で得られたデータを加工・処理し、手術結果のシミュレーションを行い、手術時に手術機器で使用するパラメータを計算するプログラム(例えば、角膜トポグラフィ機能をもつレフラクト・ケラトメータで取得した角膜形状データを基に、屈折矯正手術における角膜不正成分を考慮した手術結果のシミュレーションを行い、レーザの照射データを作成するプログラム(屈折矯正手術レーザ照射データ作成プログラム))

6 患者の体重等のデータから麻酔薬の投与量を容易に検証が困難な方法により算出し、自動的に投与するプログラム