東芝が東京メトロ銀座線向けの駆動システムに搭載した、SiCダイオード採用のVVVFインバーター装置
東芝が東京メトロ銀座線向けの駆動システムに搭載した、SiCダイオード採用のVVVFインバーター装置
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 東芝は、ディスクリート半導体の強化策の一環として、パワー半導体事業の拡大に乗り出す(関連記事1)。車載・産業機器向けの高耐圧品を中心に、製品ポートフォリオを拡充。Si製IGBT(insulated gate bipolar transistor)のほか、次世代パワー半導体のSiCやGaNの生産ラインに投資し、本格的に量産を始める計画だ。東芝 執行役専務 セミコンダクター&ストレージ社 社長の成毛康雄氏が、2014年9月29日に開催した事業説明会で方針を示した(関連記事2同3)。

 東芝はパワー半導体分野では従来、民生機器などに使われる低耐圧のパワーMOSFETに注力してきた。トランジスタに深いトレンチ(溝)を掘るディープトレンチMOSFET(DTMOS)技術が強みだ。

 今後は、鉄道や自動車、産業機器などの分野で強いニーズがある1200V以上の高耐圧領域に事業を広げる。ここに向けて、Si製IGBTやSiCパワー半導体を市場投入する。Si製IGBTについては、2004年に三菱電機に譲渡したモジュール事業の契約が2014年10月に切れることを受け、再強化に動く。東芝は1980年代に業界に先駆けてSi製IGBTを製品化したものの、当時は「時代の先を行きすぎて儲からなかった」(成毛氏)という。