IBMとAirlight Energy社が共同開発した冷却熱利用型超高集光太陽電池システム(出所:IBM)
IBMとAirlight Energy社が共同開発した冷却熱利用型超高集光太陽電池システム(出所:IBM)
[画像のクリックで拡大表示]

 米IBMは、太陽光技術開発のスイス・Airlight Energy社と共同で太陽光発電と太陽熱利用を組み合わせた高効率な冷却熱利用型超高集光太陽電池システム(HCPVT:High Concentration PhotoVoltaic Thermal)を開発したと発表した。

 開発したシステムは、サイズ40m2のパラボラ状台座に36枚の楕円形の鏡を敷き詰め、集光する。集光点には多接合型太陽電池と冷却器(熱交換器)が実装されており、面積当たりの光量にして通常の2000倍の太陽光が集まる。晴天時の発電出力は12kW、熱伝達は20kWに達し、発電と熱を合わせたエネルギー効率は80%と高効率なのが特徴だ。

 冷却器は冷却液を循環させることで、冷却器なしの場合に1500℃まで加熱される太陽電池を適切な動作温度である105℃に保つ。回収した太陽熱は地域の需要に合わせて、吸収式冷凍機や、飲料水製造などのための熱源に利用する構想だ。

 IBMとAirlight社では、独自の設計により競合システムに比べてコストを2分の1から3分の1に抑えられるとしている。太陽光に恵まれた地域を中心に、一般住宅用のほか医療施設や商業施設など向けのシステムとして2017年の実用化を目指す。