神戸大学とバンドー化学は、2014年9月24日付けで、包括的な産学連携推進に関する協定書を締結する(発表資料)。両者は地理的にも密接な連携が可能で、自然科学系(保健学・工学・システム情報学など)に社会科学系(経済学・経営学など)も含めた戦略的な協力関係を構築していく。具体的な連携活動の第1弾としては、バンドー化学の伸縮性導電エラストマー素材を用いた医療・福祉製品の共同開発を予定している。

 バンドー化学は、医療関連事業を神戸市の本社事業所に集約し、新たな製品開発に取り組んでいる。その一環として、伸縮性導電エラストマー素材について、神戸大学大学院システム情報学研究科から電子回路設計技術の指導を受け、用途開発へ向けた基礎的検討を重ねてきた。一方、神戸大学は、保健学研究科、医学研究科、医学部附属病院などを通じて、地域の医療・福祉の発展に貢献してきた。

 伸縮性のある導電材は、人間の体の動きに対する追従性も高いことから、両者は今後、障がい者コミュニケーションや呼吸器系のリハビリテーションへの応用に向けて、研究開発を進めていく。障がい者コミュニケーションは、例えば、発話障がい者の筋肉の動きを検出し、電気信号に置き換えて、その信号に文字を割り振るなどすることで、障がい者の意思を伝えられるようにするといった使い方を想定している。呼吸器系のリハビリでは、正常な呼吸時の胸や腹の動きのパターンを取得し、診断や訓練支援に役立てるといった用途が考えられるという。開発品は神戸大付属の医療機関などで臨床応用していく考えだ。