富士経済(東京都中央区)は、産業用太陽光発電システムのメンテナンスサービス、遠隔監視・状態監視サービスといったストックビジネスの市場動向を調査した。それによると2020年度のメンテナンス市場は2013年度比3.7倍の604億円、2020年度の遠隔監視・状態監視サービスは、2013年度比5.5倍の82億円と予測している。

 メンテナンスサービス市場は保守点検や故障対応などの作業にかかる人件費や交換部品・消耗部品などの費用を対象とし、遠隔監視・状態監視サービス市場は導入時のイニシャルコストを除いた年間サービス料を対象とした。

 太陽光発電事業では、発電状況を良好に保つための定期的なメンテナンスの必要性が認知されつつある。2013年度の市場は前年度比68.0%増の163億円に急拡大したという。特に、高圧分野(出力50kW~2MW未満)におけるメンテナンスの外部委託が急増した。

 高圧分野や特別高圧分野(2MW~)では、義務付けられた法定点検に加え、今後は性能診断や洗浄などのサービスの導入が進むとみている。低圧分野(10~50kW未満)においてもメンテナンスの必要性が認知されてきており、システム導入時のメンテナンスサービスの導入率が上昇すると予想する。今後も市場は拡大し、2020年度には2013年度比3.7倍の604億円に拡大すると予測する。

 「遠隔監視・状態監視サービス」の市場も拡大する。同サービスは、サービス事業者がデータセンターなどを通じてシステムの運転状況を24時間監視することでトラブルの早期発見を行うサービスで、2013年度の市場は前年度比2.5倍の15億円に倍増したという。

 出力100kW以上の高圧分野や特別高圧分野を中心に導入されている。事業収益が重視される2MW以上の大規模システムでは、故障や不具合による発電量低下の早期発見とメンテナンスが収益向上に直結するため、今後は接続箱(ストリング)単位の詳細な計測サービスの導入が標準的になると想定する。低圧分野向けは、住宅用向けサービスを産業用向けに拡大させたサービスが多く、パワーコンディショナー(PCS)の監視のみに機能を限定するなど、システムを簡素化してイニシャルコストを抑制するタイプが多いという。低圧分野向けは、定着に時間がかかるが、保守人員の不足やメンテナンス業務効率化の観点により徐々に導入が増加するとみている。

 太陽光発電システムの設置数増加に伴い、2020年度の市場は、2013年度比5.5倍の82億円と予測する。