ECUの小型化や制御の複雑化が進み、ECUの熱解析の重要性が増している。熱解析の精度を上げるには、ECU上の素子の発熱量を正確に把握する必要がある。素子の発熱量を効率良く導出するために、回路シミュレーションを適用する試みに関してデンソーが講演した。

図1●講演する篠田卓也氏 日経エレクトロニクスが撮影。
図1●講演する篠田卓也氏
日経エレクトロニクスが撮影。
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図2●回路シミュレーションの利用率を引き上げていく デンソーのスライド。
図2●回路シミュレーションの利用率を引き上げていく
デンソーのスライド。
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 この講演は、「Mentor Forum 2014 - PCBシステム開発ソリューション」(東京は2014年8月22日、大阪は8月29日)で行われた。講師はデンソーの篠田卓也氏(基盤ハードウェア開発部 第1ハードPF開発室 担当係長)である(図1)。同氏はこれまでにも、ECUの熱解析に関して語ってきた (日経テクノロジーオンライン関連記事1同関連記事2 同関連記事3同関連記事4同関連記事5)。

 それまで基本的に実験で行ってきた熱設計の大半(目標9割)を熱シミュレーションベースに置き換えることで、効率化を図るのが同氏らの狙いである。なお、実験はゼロにはしない。開発はシミュレーションベースに進めるが、最終確認には実験が欠かせないというのが同氏のスタンスである。

 今回の講演では、熱シミュレーションで使う素子の発熱量を求める作業の効率化について初めて講演した。従来は、実験ベースで発熱量を求めていたが、回路シミュレーター(例えば、米Mentor Graphics社の「Eldo」)を使って効率化する。発熱量を求める際、2013年は回路シミュレーターの利用は限定的だったが、2016年には50%に、2020年には70%は回路シミュレーターを使うという目標を立てている(図2)。