島津製作所は、新たに開発した乳房専用PET装置「Elmammo(エルマンモ)」の薬事承認を取得し、2014年9月4日に発売した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が同社などと2006~2009年度に実施したプロジェクトの成果に基づくもの。新製品は乳房に特化した検出機構を持ち、女性への負担なく乳がんの診断に使用することができるという。

Elmammoを前にする開発関係者
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 NEDOによると、近年女性の乳がんの罹患者・死亡者は他のがんと比較して大きく増加しており、早期発見の重要性が高まっている。現在乳がん検診で使用されているX線マンモグラフィは、乳房を強く圧迫した状態で撮影を行うため、検査時の女性の負担が大きいことが課題だ。また、従来の全身用PET装置は患部から離れた位置で検出を行うため、感度が低く、精細な画像を得ることが難しかった。

乳がんの罹患者は急増している
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 Elmammoでの検査は、患者は装置寝台部にうつぶせに横たわり、直径185mmの検出器ホールに乳房を入れるだけでよいため、マンモグラフィでの検査時のような苦痛を伴わない。また、全身用PET装置と比較して高感度かつ高精細な画像を得ることができるため、初期段階での乳がん検出が可能。検査時間も両胸で15分程度と短く、患者の被ばく量は胃のバリウム検査と同程度であるため人体への大きな害はないという。ただし、現状では放射性薬剤の事前投与による追加被ばくを防ぐ観点から、全身PET検査と同日使用でのみ保険が適用される、という条件がある。

検出器ホール
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乳房用PET装置のメリット
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