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ドライバーの居眠りや飲酒の検知につながる新センシング技術、広島大学などが開発

心臓・血管系の音・振動をシートの背もたれに埋め込みのセンサーで検出

2014/09/09 19:16
富岡 恒憲=日経テクノロジーオンライン
図1●広島大学などの研究グループが開発した新センシング技術を組み込んだ自動車用シート
図1●広島大学などの研究グループが開発した新センシング技術を組み込んだ自動車用シート
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図2●同研究グループが考え出したセンサーの基本構造
図2●同研究グループが考え出したセンサーの基本構造
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図3●3次元立体編み物
図3●3次元立体編み物
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図4●マイクロホンを組み込んだ固有振動子とビーズ発泡体。黒い部分が固有振動子、白い部分がビーズ発泡体
図4●マイクロホンを組み込んだ固有振動子とビーズ発泡体。黒い部分が固有振動子、白い部分がビーズ発泡体
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 ドライバーがクルマのシートに座るだけで、居眠りしていないかどうか、飲酒していないかどうか、あるいは違法ドラッグを摂取していないかどうかなどを検出する。ベッドに寝ている要介護者に心臓停止や不整脈の発生などの異常が発生していないかどうかモニタリングする。そうしたシステムの実現につながるセンシング技術を、広島大学、東京大学、デルタツーリングの研究グループが共同で開発した(図1)。

 開発したのは、シートの背もたれに組み込むことで、心臓・血管系の音・振動を検出できるセンシング技術だ。センサーはベッドにも組み込むことができるもので、ドライバーや要介護者に装着しないで済むのが1つの特徴だ。このため、ドライバーや要介護者がセンサーを勝手に外してしまうことを防いだり、センサーを装着するうっとうしさを感じさせずに済ませたりできる。

 同センシング技術の開発でポイントになったのが、心臓・血管系の音・振動をノイズに埋もれないようにすることだ。広島大学大学院工学研究院教授の辻敏夫氏によれば、心臓・血管系の音・振動は、背中の皮膚表面に伝播して体表脈波(APW)となるが、それは通常の聴診器や圧電素子、マイクロホン、エアパックセンサーなどではノイズの影響が大きくて直接計測できなかった。しかも、クルマのシートの場合、走行中でもそれらの音・振動をモニタリングしたい。だが、そうした動的なケースでは、静的なケースに比べて、さらにノイズの影響が大きくなるという問題があった。そこで、同研究グループが目を付けたのが、APWに含まれる約20Hzの周波数成分のみを増幅することだった。

 実は、APWは、約1Hzの脈波成分と約20Hzの振動成分から成る。一方、ノイズは、自動車の走行時も含めて10Hz以下のものが多い。従って、約20Hzの振動成分だけを増幅してマイクロホンで拾えれば、ノイズの影響を大幅に低減できるはずと考えたのだ。

 こうした発想から同研究グループが考え出したのが、3次元立体編み物(3Dネット)とビーズ発泡体、マイクロホンを用いた、シートの背もたれに組み込み可能なセンサーだ(図2)。3次元立体編み物とは、厚み方向にかかる局所的な力は軟らかく受け止め、厚み方向に広い面として加わる力は硬く受け止めるというもの(図3)。すなわち、背もたれに加わる体圧を分散させながら、APWのような局所的な振動を厚み方向により強調して伝えられるという特徴を持つ。また、ビーズ発泡体とは、大きなばね定数を持つ素材。マイクロホンを組み込んだ固有振動子を、同素材によって上下方向から支持することで、固有振動子を背もたれの厚み方向にのみ振動しやすい構造にできる(図4)。同研究グループは、こうした構造的な工夫を取り入れることで、APWの主成分である20Hz近傍の信号を共鳴させ約5.63倍に増幅、その信号をノイズに埋もれさせずにマイクロホンで検出することを可能にした。

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