韓国最大のディスプレー技術の国際会議「International Meeting on Information Display 2014(IMID 2014)」(8月26~29日、韓国テグ広域市のCOEXで開催)のシンポジウムでは、7つのセッション会場が設けられた。このうち、最大規模のA会場では有機EL(OLED)関連セッションを中心にプログラムが組まれた。多くの参加者が詰め掛け、質疑応答でも熱心な議論が交わされていた。

 日本では残念ながら、有機ELを研究している大学は非常に限られている。これに対し、韓国、台湾、中国では、企業との共同プロジェクトや国の支援プロジェクトに参加して有機ELを研究している大学が非常に多い。つまり、国策として有機ELを産業として育成しようとしているわけである。これらのセッションを聴くだけでも今回IMIDに参加する価値があったと、筆者は思っている。

 A会場に次ぐ広さのB会場では、なんと初日から最終日まで全9セッションすべてのテーマが酸化物TFTだった。おそらく論文数では酸化物TFT関連が一番多いのではないだろうか。こちらにも多くの参加者が詰め掛けており、セッションの延べ参加者数では一番多かったように思う。

 有機ELと酸化物以外では、フレキシブル関連の論文が多かった。特にポスターセッションでは、封止膜やフレキシブル導電膜など、1つの材料に絞ってその特徴を追求した論文が多かったように感じた。

 筆者がIMIDを気に入っている理由の1つが、会場の広さである。それぞれの会場に長机が一番後ろまで配置されており、椅子の間隔にも余裕があるので、ゆったり座ってパソコンでプロシーディングス(論文集)を読みながら発表を聞くことができる。席に余裕があるので、荷物を置く場所にも困らない。すべてのセッションが同じフロアで開催され、互いの部屋も近いので、移動も全く苦にならない。

 一方、IMIDで不満なのは、発表のスライドの写真撮影が許可されていないことである。プロシーディングスが十分に充実していれば、スライドの写真を撮らなくても、論文を読み返せば理解できる。しかし、発表の中には、全部で1ページしかなく図面すらないプロシーディングもあり、スライドを撮影しないとどんな発表だったか報告するのは難しい。また、オーサーズインタビューが行われないので、複数の聴きたい発表の時間が重なってしまうと、聴けなかった発表について後で発表者に質問しに行く機会がなくなってしまうのが残念である。

 展示会場の奥の部分にポスターセッション会場があるので、ポスター発表を見る人は展示会場を横切って行くことになる。ポスターセッション前半の発表は約160件。このうち、酸化物TFT関連が1/4程度を占めていた。後半のポスターセッションでも約160件の発表があった。有機EL関連だけでも非常に多くの発表があり、どの大学がどういうプロジェクトに参加しているのかをチェックするだけでも面白かった。

ポスターセッションの様子
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