Siemens社Audiology Group, CEOのRoger Radke氏
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日本市場を重視
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 ドイツSiemens社は、世界最大手の一角を占める補聴器事業を分離し、2015年2~3月に株式上場する。日本法人のシーメンス ヒヤリング インスツルメンツが2014年8月29日に東京都内で開催した事業説明会で、Roger Radke氏(Siemens社 Audiology Group, CEO)が明らかにした。補聴器事業の分離は、2014年5月に策定した経営計画「Vision 2020」で公表したもの(リリース)。

 Radke氏によれば「補聴器メーカーの大半は専業メーカーであり、我々も同じ土俵で戦いたいと考えてきた。Siemens本体のビジネスとは性質が異なる補聴器事業を独立させることで、この事業によりフォーカスでき、市場からの資金調達力も高まる」。Siemens社は近年、BtoC事業を相次ぎ分離し、BtoB事業に注力する戦略を取ってきた。補聴器事業はいわば「最後のBtoC事業」(同氏)だ。

 Radke氏は説明会で、日本市場への高い期待を示した。Siemens社は補聴器事業において、日本をアジア太平洋地域で最も重要な市場と見なしているという。高齢化に伴う補聴器市場の成長が見込めることに加え、平均販売単価が高い市場であること、最先端のエレクトロニクス製品の発信地であることなどをその理由に挙げた。

 特に、補聴器を両耳に装着するケースが日本では他地域に比べて少ない点に着目しているという。両耳装着率は欧米では60~80%に達しているが、日本では40%弱にとどまる。ここにまだ伸びしろがあるとみる。「米国でも10年前は両耳装着率が60%だったが、両耳装着のメリットが認知されたことで現在は80%に高まった。日本でも同じことが起こるだろう」(Radke氏)。

 Siemens社は2014年秋に、両耳装着時のメリットが大きい「画期的な新製品」(同氏)を欧米市場で投入する。これをテコに、日本市場でのシェアも高めたい考えだ。