HDR技術などが強み
HDR技術などが強み
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 東芝は2014年8月29日、イメージセンサーの製品戦略を発表した。中国スマートフォンメーカーなどへの拡販に加え、市場伸長を見込む車載・医療向け製品に注力する。裏面照射型イメージセンサー(BSI)技術や、高感度・高速化に向けた独自技術を生かす。

 イメージセンサーの市場規模は現時点で、スマートフォンやデジタルカメラ向けを中心に約8000億円。今後は既存用途向けの高性能化に加え、車載向けなどで伸長が予測されている。東芝はこうした動向に即した製品を展開したい考え。

カテーテルや内視鏡向けに参入へ

 スマートフォン向けでは、HDR(high dynamic range)やBright Modeなどの画像処理技術を搭載した製品を提供していく。HDRは、明暗コントラスト比が高い被写体において、明暗階調を広げて被写体を自然に映し出す機能である。東芝は静止画だけでなく、動画でも明暗コントラスト比が高い場所を自然に撮影できるHDR技術を開発済み。Bright Modeは明るい高速動画を撮影できる技術で、通常モードに比べて最大4倍明るい動画を撮影できる。インターレース形式を採用することで、フルHD画質で240フレーム/秒相当の高速動画撮影を実現している。

 ハイエンドのスマートフォン向けに2000万画素のイメージセンサーも開発した。今後は顧客ニーズに合わせて、コスト競争力の高い製品も開発していくという。

 車載向けでは現在、ビューカメラ用センサーを販売している。今後伸長が予測されるセンシング用途に向けて、独自のHDR技術を搭載したイメージセンサーを開発する。車載向け画像認識LSI「Visconti」と組み合わせたシステムとして提案することで、国内だけでなく海外の顧客も開拓する狙い。

 医療向けでは、米CapsoVision社製のカプセル内視鏡に搭載するイメージセンサーを開発中だ。東芝はヘルスケア事業強化の一環として、CapsoVision社に出資するとともに、同社製カプセル内視鏡に関して提携している(関連記事)。さらに、カテーテルや内視鏡向けのイメージセンサーへの参入を検討しているという。